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時刻は夕日が傾く頃。
その光がキラキラと反射する河川敷を二人で歩く。
『ね、銀ちゃん。今日は疲れたね。』
「あー、久しぶりの依頼だったからな。」
今日は待ちに待った久々の依頼の日。
行方不明のペットを探すっていう万事屋としては在り来りな依頼。
体力勝負のこのお仕事は普段激しく動かない私達としてはすごく疲れる。
『つっかれたぁー!腰も痛いし!』
グググッと伸びをしながら歩けば銀ちゃんは振り返って笑う。
「名前ちゃん、それなんか厭らしいんですけど。」
ニヤニヤした顔がなんだか無性にムカつく。
『銀ちゃんの頭の方が厭らしいよぉーだ!』
「コラ、天パをバカにすんじゃねぇ。」
『ふふ、』
厭らしいなんて嘘だよ。
夕日が逆光で銀ちゃんの髪を透かしてキラキラと輝いてる。
掴めば消えてしまいそうなほど綺麗。
『銀ちゃんは、お日様に愛されてるね。』
「は?」
『なんでもなぁい。』
綺麗に映える銀ちゃんに少しだけ嫉妬したのも本当。
ずるい。
お日様に、みんなに、
愛される銀ちゃんがずるい。
そう思うのは、私がそれ以上に銀ちゃんを愛しているからなのかもしれない。
「お前だって愛されてるだろォが。」
『何に?』
「お日さんに。」
『どこが?』
「夕日に当たるお前、スゲェ綺麗だと思うし。」
そう言ってハニかんだ銀ちゃん。
全然。きっと銀ちゃんの方が綺麗に違いない。
でも銀ちゃんにそう言ってもらえる事がすごく嬉しい。
「だけど、」
『ん?』
「お日さんより俺の方が愛しちゃってんだけどね。」
まさか、同じことを考えていたなんて。
不意打ちの愛情表現にたじろげば、銀ちゃんは嬉しそうに笑った。
「あれ?名前ちゃん、お顔が夕日色ですけど?」
『ば、ばか!』
赤くなった顔が恥ずかしくて少しだけ俯き加減になる。
自分ばっかり余裕な銀ちゃんに少しだけ悔しさが込み上げる。
『ねぇ、』
「ん?」
『私の方が、銀ちゃんの事愛しちゃってるからね。』
「っ!」
私の言葉に目を丸くした銀ちゃん。
普段そんなこと絶対に言わない私がまさかそんなこと言うなんて思っていなかったんだろう。
『あっれー?銀ちゃん、お顔が夕日色ですよ?』
「お前本当うるせェ。」
ケラケラと笑ってからかえば銀ちゃんは顔を背けて片手で口元を隠している。
だけど少しだけ、嬉しそうに笑った。
不意にパシリと捕まれた右手。
手の平が力強く握られて、銀ちゃんを見上げれば、銀ちゃんもこちらを向いていた。
触れ合った温度にキュッと心が締め付けられる。
『やっぱり、銀ちゃんは綺麗だね。』
「…そりゃお互い様だろーが。」
キラキラ
これからも
輝きと愛情を
たくさん見付けていこう
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