先導アイチ殿に仕えた時から、私は彼の話し相手になった。 といっても、本当に話ができるわけではない。私はただアイチの話を聞き続けるだけで、それに対して返答をすることはできない。いくらアイチが嬉しそうでも一緒に笑ってあげることはできないし、アイチが悲しそうでもこの手で触れて慰めることもできない。当然の話だが私はカード、アイチは人間。おそらく永遠に叶うことはないだろう。 本来の役目と違うと言われれば返す言葉はない。それでも私はアイチと一緒にいられるだけで幸せなのだ。触れられずとも、そばにいられるだけで私は満足なのだ。 「あのね、ブラスターブレード…今日は良いことがあったんだよ!」 アイチの言葉と表情は次元の壁をも越えて伝わってくる。もはやこの感覚にも慣れてしまった。これも全てアイチに出会えたからなのだろう。 そのきっかけをくれた元持ち主の櫂トシキ殿には感謝してもしきれない。 そして今日も明日も、共に居続ける限り私はアイチの話し相手であり続けるのだ。 |