先導者 | ナノ








だんだんアイチくんのイメージ崩壊が強くなっていくので注意
清純なアイチくんはいない




よく掃除中に色々なものを発見したらそのたびに掃除なんか投げ出してしまってそれらの思い出に浸ってしまう、なんて聞くが、まさに僕は今その状況である。まぁ、そこまで散らかすほどものがあるわけでもないし、今日はひとまず気にしないことにする。

そんなことを思いながら部屋の棚の整理をしていたら懐かしいものを見つけた。昔集めていた漫画、なぜか混ざっていたエミの絵本、幼稚園の頃のアルバム、小学校の卒業証書。
どれも幼少の頃の思い出がつまったもので、暫し懐かしみに浸る。

はっと気が付けば既に30分も経っており、慌てて今広げたものを手当たり次第まとめ、段ボールに詰める。
こうして思い出を閉じ込めているのだとおもうとなんだか少し悲しくなったが、別にまだ捨てたりするわけではないし、見ようと思えばいつだって見れるのだから、と自分を納得させる。
段ボールの四分の三ほど詰め終わった頃には、もうほとんど何も残っていなかった。そして、残りはあと一つ。

「これ…なんだろ」

最後に残ったのは、棚の裏に残っていた丸められた白い紙。
広げてみれば、紙全体に大きくブラスターブレードが描かれていた。いつ描いたものだかはさっぱり覚えていないが、間違いなく櫂くんに会ってブラスターブレードを貰ったあとに描いたのだと思う。
こんなもの描いてたんだぁ、なんて思いながらなんとなく右下の隅っこを見たら鉛筆でうっすらと書かれていた。

『おおきくなったら、ぶらすたーぶれーどとかいくんのおよめさんになりたいです』

…恥ずかしくて死にたくなった。
なんでブラスターブレード…だけじゃない、櫂くんなんだ。いや、そりゃああのときから櫂くんのことは気になってたし……って、それ以前に僕は男だ。女でもないのになんでお嫁さんになりたいとか書いてるの、昔の僕!ばかばかばか!
それよりたったこれだけの(だけってわけでもないけど)ことで赤くなったり慌てたりしてる僕も僕だ。先導アイチのばか!

とりあえず枕に顔を埋めてじたばたしてみる。
そうしたらだんだん櫂くんのことが頭の中を駆け巡って、落ち着かなくて、ついに櫂くんが隣にいて僕を見てるんじゃないかと錯覚までして、もはや自分がよくわからない。それでまたじたばた。
少しして後ろを振り返ってみたら、いつの間に入ったのか、エミが冷めた目付きで僕を見ていた。

「え、エミ!い、いつから、」
「夕飯できたから」
「え、あぁ…うん…」

やっと自分がしていた愚かなことに気付き、反省する。だけどもエミはそれから一言も話してくれなかった。
…普通に考えたら当然のことなのだけれど。
夕飯を食べ終わって、真っ先に階段をかけ上がって部屋に飛び込み、さっきの絵を丸め段ボールの中にぶん投げて、ガムテープで箱を閉じた。…やっぱり思い出はしまっておくべきだ。


とりあえず、今度櫂くんに会ったらこの話をしてみようかと思う。







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