ニーレンベルギア | ナノ








ここはサンドリアン―――サンドゾーンで一番栄えている街である。
サンドゾーンは「女神の戦士団」なる者たちがバグラ軍の進行を防いでいるため、平和を保つことが出来ている。そのため、他のゾーンよりは安全であり、子どもたちが外へ駆け出したりしても問題ないくらいだ。そんな屈強な戦士団の養成所がここにはあった。エンジェモンが長を務め、志願者が絶えず集まり女神の戦士を目指しているのだ。

この日もいつも通り訓練を行うはずだった。


「さあみんな、祈りの時間だ」

エンジェモンの呼び掛けに、さっきまで騒いでいた小さな見習いデジモン達も皆、聖堂へと集まる。
祈りの時間とは女神の戦士団にとってとても大切なものであり、欠かすことの出来ないものなのだ。祈りを捧げることによって幸福が訪れる、なんていう噂があるくらいである。

「よし、今日は終わりだ」

エンジェモンが呼び掛ける。
すると皆がぞろぞろと蟻の行列のようにそれぞれの持ち場へと戻っていく。これもここでは当たり前なのだ。
エンジェモンが最後の点検をして、聖堂を後にしようとした時だった。

「エンジェモン様ー!」
「どうした、カラテンモン」

向かいからカラテンモンがなにやら大きなものを抱えて走ってきた。
いつもなら廊下を走るなと注意するところなのだが、それよりもその抱えられたものが気になっていた。

「なぁカラテンモンよ…脇に抱えてるそれはなんだ?」
「そうそう、それ。デジモンなんですよ。小さくてあちこち傷だらけですがね」

ほら、と言わんばかりにカラテンモンが差し出したのはまだ幼い少年だった。
その小さな身体からはまるで想像出来ない程の傷の多さと、意識を失ってもなお武器を握りしめている意志の強さにエンジェモンは驚いた。

「馬鹿!早く手当てしてやれ!」
「は、はい!」

素早くカラテンモンに指示を出し、少年を救護室へと運ばせた。
幸い一命は取り止めた。後は回復を待つだけである。



110510



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