最初で最後のプロポーズ。
キラキラ、
左手に光るリング
ピンクシルバーなんて名前だけで実際の色は、金色を少しくすめた感じ。つまり黄土色。
ピンクシルバーと名付けたのは、色のことじゃなくてまた違う意味なのか、どうか。
(あ、光るとピンクに見えなくもない)
「そんなに見つめて嬉しい?」
「もちろんっ!」
「なら、良かった」
「ありがとね、レン」
「リンもありがとう」
今日は、特別な日。
世間一般で言う記念日と言うもので、マスターが作ってくれた曲で、あたしとレンが歌って、はじめてボカランとか言うやつに入って、レンがあたしに好きだと伝えてくれた日。
「もう一年たつんだね」
「はやいなー」
「うん、レンは、気もはやい。まさか、プレゼントがエンゲージリングだとは」
「ほら、男は最初のヒトになりたがるって言うだろ?誰かに盗られる前にリンの最初を全部予約したくって。これでも一年は、我慢したんだぜ?」
「そんなに?」
「そうだよ。でも、手放す気なんて生まれた時からさらっさらなかったし、誰にも渡さねぇよ」
「でも…女の子は最後になりたいの。」
「え?」
「男の子は、最初が欲しいみたいだけど女の子は、最後が欲しいの。」
「リン?」
ポケットから小さな箱を取り出してレンの前であけてみせる。
キラキラ
光るそれはブラックシルバー
レンの利き手を持ち上げて自分のリングのついた同じ指にソレをするりとはめる。
「だから、レンの最後をあたしにちょうだい?」
最初で最後のプロポーズ。
(リンも気、はやいじゃん)(じゃ、返して)(すいません、そんなことないです)
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20110623
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