返事はきかないよ(王子×メイドパロ)




本日のおやつは何にしようか
昨日は、たっぷりメイプルシロップをかけたブリオッシュ
一昨日は、パイ生地のシュークリーム
甘い甘いスイーツを作るのもあたくしメイドのお仕事、大切な愛しいあの方の為ならどんなスイーツも作ってみせます!
だから今日もスイーツを口にふくむと生まれる甘くとろけるとびっきりの笑顔を見せて下さいませ!







沢山沢山ある扉を繋ぐ長い長い廊下を走り、あの方をさがすのもあたくしメイドのお仕事

もう手慣れたこの隠れん坊
こんな暖かい日は98%中庭いらっしゃるはず

「王子っ」
「…」
「王子…?」
「…」
「王子…わっっ!」

寝ているのかと近くによったのが間違いでした
あたくし、本日の最大の失態!と言ったら怒られてしまうかもしれません

がっちりと掴まれてしまった腕に引き寄せられた体はすっぽり王子の胸の中
顔に熱が集中していくのが、嫌でもわかります

「王子っ!」
「…違うだろ、リン?」
「ぅう…」
「リーン?」
「…れ…れんおうじ…」
「50てーん」
「…れ……………………ん」
「ん、90点」
「…まだお仕事中です」
「ん」
「こんな姿を、大臣に見られたらどうするんですか」
「俺、王子だし」
「いやいやいやいやいやいやいやいや」
「そんなに俺がいや?」
「えっ!?やっそんな意味ではなくっえっそんなむしろレンとひっつけて嬉し…ハッ!!!」
「んーっ100点」

と、こんな感じのやりとりは毎日の事で、いっつもいっつも負けてしまいます

「ってあたくしはお仕事を!」
「いいじゃん、いいじゃん。俺が許すからさぼったらいいよ」
「なっ!?他のメイド達に悪いです…そっそれに」
「それに?」
「今からするお仕事は、レンの三時のおやつ作りです」
「それはさぼられたら困るな」
「でしょ?本日は何を召し上がれますか?」
「んー、リンがいいな」
「は」
「だから、リン」
「リンは食べられません」
「食べられるよ」
「リンは食べ物じゃありませんっ」
「うん。だけど食べられるよ」

'こんな風に'と言って、レンはペロリと首筋を

「なっなっ舐め…!」
「うん。美味しい」

にっこり。
それはそれは向日葵のような笑みを浮かべて
「って、ことでいただきます」
「ぴっぴゃぁあああああああ」

ズルズルとお屋敷に引っ張られていきました










(こっこれはメイドのお仕事ではありません)(うん、だから恋人としてね)(え)(好きだよ、リン)(え、ぇええっ)







20110602

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