公衆面前で高尾くんに告白される黒子っち










・あなたは6時間以内に8RTされたら、二人とも新人社会人の設定で公衆の前で告白する高黒の、漫画または小説を書きます。(http://shindanmaker.com/293935)





現在の状況。今朝、高尾くんに誘われた。待ち合わせ場所に行く。しかし、その彼が待ち合わせ時間になっても、来ていない。そのせいで、僕は貴重な昼休みを浪費している。とてもお腹が空いている。

出勤中に携帯電話のバイブがなって見てみるとメールが一件。ライトがオレンジに光っているから、高尾くんからだ。
『今日の昼、暇?暇なら、一緒に飯食いにいかない?』
今日は特に何もない。
『いいですよ。どこで待ち合わせますか?』
返事はすぐにきた。
『〇〇駅の前の時計の下に12時20分ね(≧ε≦)』
社会人になっても相変わらずの彼。やっぱり、メールのテンションも高い。

彼の勤めている会社と僕の勤めている会社は最寄駅が同じだ。歩いて15分もかからないくらい近いところにある。そんなことを知ったのもつい最近だが。近いとなれば話は早い、と高尾くんに引っ張らるまま、暇な時は一緒にお昼ご飯を食べたり、飲みに行ったりしている。大体、誘いは高尾くんからくることが多いが、僕から誘うこともある。ほとんど、愚痴になるあたりが、僕らも社会人に、大人になったんだな、と思う。高尾くんは何かと器用にこなすだけに器用貧乏になってしまっているらしい。僕は僕で口数の少なさや表情が読めないとか、影が薄いとか仕事と関係ないところでとやかく言われて時々、嫌になる。仕事自体は割とそつなくこなしている自信があるのだが。
時計台の時計を仰ぐ。12時30分。もう、10分も遅れている。僕はそんなに時間にはうるさくない方だと思う。だから、10分くらいの遅刻はどうってことはないのだ。でも、待ち合わせ相手はあの高尾くんだ。彼は絶対に遅刻はしないし、しそうになった段階でメールをしてくれる。それは当然、予定が入ったときもしかり、だ。
彼が連絡ひとつなく遅刻している。
もしかして、途中で事故にでもあっているんじゃないだろうか、なんて冗談抜きで思う。
彼の会社からここから歩いて10分やそこらだ。大きな通りが一本あるだけ。特に事故があったようには見えなかった。
考えすぎか……。
まあ、彼も人間だし、たまには遅刻くらいするか。
「お腹空いた……」
ぐぅぅぅ、と腹の虫がなく。朝は急いでいたから某バランス飲料しかとっていない。お腹が空くのも仕方がない。
高尾くんはどこに食べに行くかもう、決めているだろうか。もはや、空腹すぎて何が食べたいとかない。とにかく、何か食べたい。
「黒子っ!」
走ってきた高尾くんは息を切らせていた。いつも通りのぴしっとのりのきいたスーツ。ストライプのシャツにクールビズなのかノーネクタイだ。
「高尾くん。待ちくたびれましたよ……。お腹ぺこぺこです、全く」
何故か、僕の言葉に苦虫をかみつぶしたような表情をする。
「少しだけ、待って」
ポケットに手を突っ込んでから、オレ、今、これしか持ち合わせないんだ、と某カロリーメイトを一箱渡される。ちなみにチーズ味。欲をいえば、チョコ味の方が好き。
「すみません」
遅刻したのは高尾くんだから、遠慮なく頂かせてもらおう。見慣れたオレンジの箱。もう、大人なんだから食生活くらいきちんとしなきゃいけないな。最近は、もう大人なんだからと焦りすぎている自覚はあるけど、自分は学生の頃と変わらさすぎている感じがどうも否めない。 固くはないが柔らかいとは言い難い、ぱさぱさなクッキー。すぐに水が欲しくなるんだろう。
「あれ、高尾くん……それは花束ですか?」
高尾くんが背中に隠すように花束を持っていた。言わない方が良かったのだろうか。ちらっと見えただけだが、初夏というか、梅雨らしい、白と紫系でまとめられた花束のようだ。
行儀が悪いのは分かっているが、カロリーメイトをくわえたまま聞く。彼は、気まずそうに目を逸らした。
やっぱり、まずかった?
なんて思っていると、彼はジャケットのえりをぴっと引っ張って真剣な表情をした。
「黒子」
「はい」
普段は笑顔の方が特徴的であまり意識していなかったが、彼の顔は整っている。いわゆる、イケメンという感じではない。どちらかと言えば、二枚目とか少し古い言葉になるがハンサム、というイメージだ。確かに本人の性格はチャラチャラしているというのか、必要最低限以外はいふざけているようなものだ。だからこそ、真剣な顔の彼はいつもより断然、格好いい。思わず、つられて緊張してしまう。
「好きです。オレと付き合って下さい」
花束を前、つまり、僕の方に差し出して、頭を下げた高尾くん。
「えっと……?」
「嘘でも冗談でもないから」
「本当なんですね?」
ちょっと、周りを歩く人の目線がいたい。
「うん」
花束をそっと受け取る。

6月のある日。雨は降っていないものの蒸し暑い、そんな日のこと。

僕は空腹で腹の虫がないてるなか、カロリーメイトを口にくわえ、かぎりなく間の抜けた姿で告白された。
 











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