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えあ 0305 (01:53)



 
「大将…?」
 背中に凭れかかってくる頭の重みを感じ、なつは疑問符を浮かべる。黒い髪が首筋を擽る感触に頬が緩んだ。大将ことレフが疲れきっているのはよく知っているつもりだったから、出来る限り甘やかしてやりたいというのが本音だ。
「なーつー」
「はい、大将」
「…名前」
 眠そうな、抑揚の少ない声が彼女に何かを請う。それをくみ取ろうにも難しく続きを待っていると、彼はやや拗ねた声音で言った。
「名前、呼んでくれよ…」
それはとても予想外の不意打ちである。一瞬面食らったなつは、暫く躊躇ったが、やがて意を決して口を開いた。
「レフさん」
「おう、もっと」
「レフさん」
「……ん」
 満足そうに笑ったレフはゆっくりと目を閉じる。どんなに短い時間でも、今ならよく休めるような気がした。

(たかまご様宅レフさんと雪野でえあ)





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