Colorfulタイム!


目撃

木漏れ日の下にあるレギュラージャージと白い帽子に、ふと目が止まったある日。
「ま、まだまだだね...」
「...何してんの」
「!!!」



発覚

「なぁ、リョーマの同い年で三つ編みの女の子って知ってるか?」
「竜崎先生のお孫さんの桜乃ちゃんじゃない?」
「あぁ!ババアのか!へぇ、桜乃ちゃんねえ」
(早速、朝からかってやるか)
(..また、なんか企んでるわね)



Fight!

「おまえ、弱っえーなぁ」
「....」
「ま、この南次郎様に勝とうなんざひっくり返ったってムリだな!」
「くっそ、もう一回っ!!」
「...二人とも、何やってるんですか?」
「あっち向いてホイ」



瞬殺(青学三年)

「手塚、どうだ新しい試作品なんだが是非飲ん」
「断る」
(((そりゃそーだろ)))
「乾、もらっていい?」



あめ

「おっ、越前いいの持ってんじゃん!どうしたんだよ?」
「、もらったっス」
(...甘すぎ)



午前二時

「うぅ、ん…カル、ピン、だめだ、そっちは行っちゃ…」
ドスンッッ
「...」



狙うは、のぞき魔三人組

(あぁ、バカ!越前のヤツ素直じゃねぇなぁ…)
(おチビ乙女心が分かってない!)
(恋愛成就率10%だな)
(((げっ…!!!)))
「「「待て待て待て!!打つなっ!打つなっ!!!」」」



まっかなりんご

「あ、あのね!」
「何」
「あの、だから、つまり…!」
「だから、何」
「そのっ!良かったら、今度一緒に、デ、デデ、デ...!」
「どもりすぎ」
「うぅ...」
「で、どこ行きたいの」
「へっ?」
「デート、したいんでしょ?」
「っ!う、うんっ!」



溶け込む

校舎裏に響く、頼りないボールの音が本当は嫌いではない。返ってきたボールに嬉しそうに笑みを零す彼女を瞳に映して、その場を離れた。西陽が眩しい午後のこと。



目眩く

前を向く大きな背中を見るだけで、胸が締めつけられる。少し低い心地いい声も、ふとしたときに見せる柔らかい表情にも胸が熱くなる。それでも何より、コートで輝く姿に、一番この胸は鳴り止まないんだ。



青春color

部活の休憩中に、いつもの場所で壁打ちをする彼女を見かけた。
(ヒザ伸びすぎ、ひじ曲げすぎ、肩開きすぎ)
長い髪が風に揺れた。それは日の光を浴びていて、
(...髪の毛長すぎ)
瞳を逸らして踏み出そうとした瞬間、背後で聞こえた素っ頓狂な声に、深く息を吐き出す。
「ったく…」
一つ零して、進行方向を変えた、木漏れ日の中を風が吹き抜ける午後のこと。



薫る四月

赤いラケットを握りしめ、瞼の裏に焼きついた残像を今日も追いかける。そして明日も私は、陽春の中でコートの上を走るのだ。



聞かせて

試合の後、微笑みを添えた優しい声色が自分の名を呼ぶのを、当たり前のように感じるようになったのは、いつからだろう。



clear view

テニスボールを追いかけているときの、彼女の瞳をどこかで見たことがある。昔、まだ小さかった手でラケットを握りしめていたあの頃、偶然鏡の中で見つけた自分。ああ、瞳に映っているものは同じなんだと知った。



呼吸が止まる

燻る感情に名前を付けられない。和らぐ心地の色を知らない。とくりと鳴る心音の存在理由を、アンタは知ってるの。


乾汁

「い、…いやああぁぁぁーーー!!」
「....」
「リョーマくん!目を開けてよっ、…リョーマくんっ!!」
「....」
「なんで、...なんでこんなことにっ」
「...桜乃、それ乾汁飲んだだけだから」



放課後ディスタンス

図書室の窓際、左隅の席。あいつの特等席。知らぬ間に覚えていたのは、オレが図書委員だからだ。



その効き目、

十二月二十四日。四文字の数字。初めて知ったその響きは、その日から魔法の言葉に変わった。



橙ラバー

本の隙間から、ふと気づいたように視線をあげる。窓から射し込む、ほの朱く熔けた光。ページを捲るときに、少し鼻先に届く古い紙の匂い。その合間に微かに耳に届く、静かな寝息。月に何度かある、特別な放課後。



水色

少し先にある後ろ姿。横顔が見つめる先を追って、胸が潰されるように締め付けられた。優しさをもって瞳を細める仕草に呼吸が止まる。
ねえ、ねえリョーマくん、どうしてそんな瞳をしているの?



桜色

風に揺れる女子生徒の長い髪を瞳に捉えたとき、瞼の裏に浮かんできたのは三つ編みの少女だった。知らず視界に浮かんだ残像に、感情が動く。いつからだろう。あの髪の柔らかさを知りたいと、望みを持つようになったのは。




放課後スタンス

「どこを好きになったの?」
「あの」
「やっぱ、あの笑顔が決め手か?」
「だから」
「甘いな桃、そうと見せかけて実はあの抜けてるところに」
「どいてくれません?」




赤い傘

放課後、雨の中コートでボールを追いかける人を見かけた。ただ無心に、ひたすら、食いつくように。柄を握る手に僅かばかりの力が入る。雨はずっと降っていた。




君がいる

ガットに当たるはずのボールが、予想より大分右上を通過した。そのままバランスを崩しそうになって、慌てて踏みとどまる。
(良かったぁ、また転けるかと思った…)
ほっとした瞬間、半ば呆れたような感心したような声がした。
振り向いた先で、彼が投げたボールが弧を描く。
「リョーマくん!」




青の日々

「私、桜乃には積極性が足りないと思うのよ」
「う、うん」
「そっと見つめてるだけじゃなくて、真っ正面から挑む勢いで見つめないと!」
「そ、そっか!そうだよね..!私、頑張るよ!」
「女は度胸よ桜乃!」
「うんっ!」




Shiny days!!

(あっ..リョーマくん!そ、そうだ、女は度胸!真っ正面からっ、挑む勢いで!)
「リョ、リョリョ、リョーマくんおはようっ」
「..はよ」
「今日は、良い天気だねっ」
(お、女は度胸!真っ正面から!まっ、まっしょう…)
「そう?普通じゃな」
「...やっぱり無理だよぅー!!」
「....何が」
走り去る姿を唖然と見送った。




熱宿せし声

少し低い落ち着いた声。感情を覚らせないその声色に、私は一番鼓動を乱される。




Spring eyes of you

「肘曲げすぎ」
「はいっ」
「肩開きすぎ」
「はいっ」
休憩時間。合間にたまたま見つけて、たまたま気が向いた。だからだ、声をかけてしまったのは。インパクト音が響くなか、ボールを追う真っ直ぐな姿勢を静かに見ていた。




青風吹く

金網を開けて、コートから出る。汗をかいた熱で火照った顔をタオルで拭っていると、いつしか覚えてしまった声が鼓膜を揺らした。下げていた顔を上げて、その姿を捉える。
「レギュラー、おめでとう」
凪いでいた風が、静かに吹いている。
「...どうも」
微笑む彼女の頭上空高くには、飛行機雲が真っ直ぐに青を横切っていた。




霜焼け

「あっ...リョーマくん、今帰り?」
「そうだけど」
「そっか...」
三つ編みを揺らす彼女と、校門で偶然鉢合わせた。言葉を紡ぐ度、白い息が消えていく。そのまま横を通りすぎても、動こうとしない様子に一度振り返った。
「帰んないの」
「か、帰りますっ」
すっかり冷えきった空の下、微妙な距離を開けたまま歩く。ふと斜め後ろを歩く竜崎が細い指に息を吹き掛けていることに気づいた。
「そんな今日寒いっけ」
「え?あ、うん。ちょっと冷え性なの」
困ったように苦笑いをするのを見て、無意識に伸びそうになった手にはたと気づいた。
ふいと前を向く。瞼の裏には赤らんだ指先が残っている。
(...オレ、おかしい)
その日の帰り道、掌をやけに冷たく感じた。




心の容量

飲み込んで飲み込んで、伝えられずに心に仕舞い込み続ける。いつか一杯になってしまったとき、この気持ちはどこに行くんだろう。いつか、忘れられる日が来るのだろうか。涙で滲んだ便箋がしわしわに歪んでいく。本当に伝えたいことの一つも書けないまま、私はまた手紙を出す。もう淵から溢れてしまっていると気付いているのに。




雪合戦

「きゃっ!」
「あ!わりー竜崎!ってうおい!ちょっ、やめろよ小坂田!冷てっ!イッテ!!」
「そこの男子二人!加勢しなさい!」
「カツオくん」
「うん賛成。自分の身を第一に考えよう」
「この裏切り者ー!!!」
「朋ちゃん私大丈夫だからっ、わ、きゃあっ!」
「アンタ雪だるまにでもなりたいの」
「あ、ありがとうリョーマくん」
「友を助けろえちぜえええん!」




Everlasting

静まり返る会場にボールの音だけが響く。何百の息が固唾を飲んでその光景を見ている。誰もが最後の一球を見逃しはしないと、息を止めているのがその一瞬に満ちていた。白い帽子に隠れて口角だけが見え隠れする。
(リョーマくん、笑ってる)
サーブラインでバウンドされた黄色いボールは、まるでスローモーションのように太陽に向かって彼の手から離れた。


























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