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連載主とマルコ

2010/03/23 23:27

「これください!」

そう言ってチビ助が露店のおやじに差し出したのは、わりと大きめな瓶に詰まった透明な液体。まあ、サイダーなんだが、明らかにチビ助には大きいだろう。
ふぅ…、とため息をついた。

「チビ助、そりゃあ…でかいだろい」

「んー…」

困ったような、ふて腐れたような顔でおれを見上げたチビ助の頭を撫でる。
どうやら、よほどサイダーがいいらしい。

「はぁ…。おやじ、もう少し小さいのはねえかい?」

「わりぃなあ。それが一番ちいせえやつだ」

「…」

「まるこー…」

しかたない…。

「これ、くれるかい」

「すまねえな。まいど」

おれのポケットから出した金を渡して、サイダーを受け取る。
蝦蟇口をぱっくり開けて、キョトンとしているチビ助に渡す。

「はんぶっこだよい」

炭酸は正直、あまり好きではないが、別にいい。

「ありがと!」

ニッコリ笑ったチビ助の頭をもう一度撫でる。
ついでに開けっ放しになっていたチビ助用の蝦蟇口を閉じて、お気に入りのうさぎのリュックにしまってやった。
それにも律儀にお礼を言ってくれたチビ助だが、意識はもうサイダーに集中してるらしく、じっと瓶を見つめてる。
瓶を見つめたままのチビ助の手を引いて、近くにあるベンチに向かう。
二人並んで腰掛けた。

「飲まないのかい?」

「まるこ、さきー!」

「ん?おれが先なのかい?」

「うん」

「くくっ。ありがとよい」

チビ助から瓶を受けとって、一口飲む。
しゅわっと炭酸が喉を刺激した。
炭酸は、これだからいただけない。

「ほれ。飲みたかったんだろい」

「うん。ありがとう」

「しゅわしゅわするから、ゆっくり飲めよい」

「はーい」

注意したのにぐいっと一気に飲んで、げほっとむせたチビ助。
あほだ。

「だから言っただろ」

「しゅわしゅわー」

「ばかだねい」

「うへー。はい、つぎまるこー」

「つぎ?」

「はんぶっこでしょ」

よくわからないが、とりあえずチビ助の中ではんぶっこは交互に飲んでいく、ということならしい。
なんだか違うような気もしないでもないが、訂正も面倒だしそのままでいいか。

「ありがとよい」

「はんぶっこ、たのしい」

「楽しい?」

「うん。はじめてしたー」

「そうかい」

「まること、はんぶっこー」

本当に楽しいんだろう。
いつもよりニッコニコな笑顔に、おれもつられて笑いながらサイダーをまた飲んだ。
しゅわっとするサイダーが、ほんの少し柔らかくなったような気がした。




炭酸が苦手なマルコとか、どうですか^p^



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