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連載主とマルコ
2010/02/18 12:09
「まるこ、め、あお」
「チビ助の目は紫だねい」
自室のベッドの上。
寝転がるおれの腹の上に寝そべって、じっと瞳を覗き込むチビ助の頭をぐしぐし撫でる。
「むらさき?」
「ああ。綺麗な色だよい」
綺麗な紫の瞳がすぃ、と細まった。
嬉しそうな笑顔でおれの胸をぺちぺち叩く。間抜けな音か、静かな部屋に響いた。
「まるこ、あお、きれー!」
「はいはい。ありがとよい」
チビ助を腹に乗せたまま、ひょい、と脇にあったタオルケットをかける。
「さあ、もう寝るよい」
「うん」
ころん、と横に転がったチビ助の肩にタオルケットをかけ直す。寝転がったまま、片手でランプを消した。
「おやすみ、チビ助」
「おやすみー」
さっきまでまったく眠そうではなかったのに、今はずいぶん眠そうな声だ。
それに少し笑って、ぽんぽんと、背中をゆっくりしたテンポで叩いてやる。
すぐに寝息が聞こえてきて、暖をとろうとしたのか擦り寄ってきた。
「くくっ。さて、おれも寝るかねい」
擦り寄ってきたチビ助を腕の中に引き込んで、目を閉じた。
船を揺らす波の音が、かすかに聞こえてくる。
その心地好い音と、すぐそばにある確かな温かさを感じながらおれは眠りに落ちていった。
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