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成長連載主とエース

2010/03/13 20:24

「「いただきます!」」

ぱん、と二人揃って手を合わせて、フォークを握った。

「うンまそー!」

「うまそー!」

チビとおれの前にそびえ立つのは、ズドーン、とでっかいケーキ。おれとチビが料理長にお願いして、わざわざ作ってもらった特製ケーキだ。

「エース!おれ、イチゴんとこ食っていい?」

「おう!じゃあおれは桃ンとこー!」

フルーツがたんまり乗ったケーキに、勢いよくフォークを突っ込む。うまそう!

「うへっ!うまうまー!」

「うめー!」

うまい!と騒いで、またケーキに手を伸ばす。
だって、フルーツもうまいし、スポンジも、クリームも最高なんだ。

「次おれ、キウイー」

「お!じゃあおれァ、ラズベリー!」

「あ!ラズベリーいーなー!」

「ん?食うか?」

「食べたい!」

頬っぺたにクリームをくっつけたチビが、ニカッと笑った。
その笑顔に笑顔で返して、ケーキの乗ったフォークを差し出した。真っ白なクリームに、ラズベリーの赤がなんともうまそうだ。

「おう!ほら、あーん?」

「あーん」

「うまいか?」

聞かなくったって、答えなんかわかりきってるけど。だって、めちゃくちゃ笑ってるしな。

「うまいー。あ、じゃあ、エース、キウイ食べる?」

「いいのか?」

「うん!エース、あーん」

さっきと同じように、ニカッと笑ってフォークを差し出した。

「あー…。…ん!うめぇ!」

素直に口にいれてもぐもぐ。

「うまいねー」

「うまいなー」

絶品のケーキに、二人して頷き合う。
うん。
さすがうちのコックだ。

「あ、エースエース」

「あん?」

「バナナも入ってるよー」

「お?パイナップルも入ってんぞー」

「…」

「…」


「「…マルコ」」


なんというか、まさかの出会いだった。

微妙に、ケーキが食べにくくなったのは、チビとおれの二人だけの内緒だ。



甘いの大好きな末っ子と孫の思考回路は意外と似てる、とか^p^

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