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連載主とマルコ

2010/03/11 16:39

どうしてこう、小さいくせに大きなものを持ちたがるのか…。
おれは密かに首を傾げながら、チビ助の背中を見ていた。

「まるこー?」

明らかに、自分よりも大きな荷物を両手いっぱいに抱えて、おれを探している。どうやら、その大きな荷物…まあ、でかいうさぎのぬいぐるみなんだが、それがあまりにデカすぎて、前が見えないらしい。(だいたい、あんなぬいぐるみ、一体いつ手に入れた)
というか、前も横もほとんど見えてないらしい。
かなり間抜けだ。
だいたいおれは、ずっと後ろで見てるのに気づかないとは、かなり間抜け。
かなり間抜け、なんだけど…。

「まーるーこー?」

うさぎを抱きしめたまま、くるくる周りを見回す姿は、ちょっともう反則だろう。
可愛い。
とても、可愛い。
なんだ、あの生き物は。

「…可愛い」

「そう思うなら、そろそろ出てってやれよ」

隣でおれと同じようにチビ助をじっと観察していたサッチが、呆れたようにそう言った。

「まるこー」

たしかに、さすがにそろそろかわいそうな気がしてこないでもない。
けど、だってあれ、可愛いじゃないか。

「…いけよ」

「……チッ。わかってるよい」

サッチにこれ以上なにかを言われるのもしゃくだから、渋々チビ助の元へ向かう。

「…おい」

「まるこ!」

ぐるん、と振り返ったチビ助の全身は、見事にうさぎの後ろに隠れてしまっていた。
あぁ…やっぱり、

「間抜けだよい」

「?…まるこ、みてみて。もらった」

ずい、とうさぎが前に出てきた。
そんなことしなくても、うさぎしか見えねぇよ。

「よかったねい」

いろいろ言いたいことはあったが、とりあえず、頭を撫でようか。
もちろん、うさぎの、ではなく、チビ助の頭を。




ちなみにうさぎはオヤジがくれました

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