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連載主とマルコ

2010/03/03 02:55

突然思い立った片付けは、いつの間にか大掃除なみになっていた。



「よいこらしょっと」

「よいこらしょー」

本棚の上に荷物をのっけたところで、足元から聞き覚えのある声が聞こえた。

「……チビ助、なにしてんだい」

「てつだい、きたよ」

最近ちょっと長くなってきていた前髪を、(誰にやられたのか)ちょこんとゴムでひとまとめにされたチビがにっこりと笑った。
腕まくりをして、やる気まんまんです!と言わんばかりの姿に、おれは思わずため息をついた。

「…ありがとよい。でも、危ないからどっかいってな」

「…えー」

「えー、じゃないよい」

珍しく全開なデコをぺちりと叩く。

「なんでもやるー」

「だから、怪我でもしたら大変だろい。おとなしく外で遊んできなさい」

「えー…」

これまた珍しく、聞き分けが悪い。
駄々をこねるなんて、無いに等しいこいつが…。なんかあんのか?

「……なんか、吹き込まれたな」

びくっと揺れた肩と、ふらふらと泳ぎ始めた視線。
まったく。
いったいなにを吹き込まれたんだか。大方、サッチらへんの仕業だろうが…。

「…」

「なーに吹き込まれたんだい?」

一旦作業は中断で、しゃがんでチビ助の目を覗き込む。紫の瞳は、うろうろ忙しない。

「場合によっちゃあ、怒らねえから言ってみなよい」

「……う…」

「ん?」

「さ、さっちが…」

「うん」

「まるこのへや、たからばこって」

「…は?」

「おもしろいから、みてみろって」

ぼそぼそ話したチビ助は、バツが悪そうに顔を背けた。
正直、なんだそりゃあ、と言いたくなる理由だったが、なぜか笑える。

「くくっ…。宝箱に見えるかい?」

「…!うん!みえるー」

キラッキラの目。
…結局、おれはこいつに甘いらしい。

「…。ったく…。邪魔しない。変なものには触らない。おれの言うことは聞く。それが守れるならいてもいいよい」

「うん!わかった!」

まあ、楽しそうならいいか。
ぐしぐしとチビ助の頭を撫でて、おれはまた掃除を再開した。


よいこらしょは笑うところです
マルコの部屋には、きっと変なものがたくさんある


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