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成長連載主とマルコ

2010/03/02 14:52

※成長連載主




たまたま寄ったある島で、チビ助と飯を食べた帰り道。
ふと、小さな子供が目に留まった。

「…」

「…」

バチリと目が合って、数秒。

「…っふ、うわぁああん!!」

盛大に、泣かれた。

「え?なに?」

隣でそのやり取りを見ていたチビ助が、きょとん、として泣き出した子供を見た。
いや、なに?と言いたいのはおれの方だ。

「うぇええん!おかーさーん!」

すぐそばにいたらしい母親のもとへ、泣きながら駆けていってしまった。
…。
たぶんというか、確実に、おれの顔を見て泣いただろ、あれ…。
そんなに、人相悪いか…。
おれ…。

「なんだったの?」

「…さあな」

わかってないらしいチビ助の頭を撫でて、雑踏の中を歩きだす。

「マルコー」

「なんだい」

「おれ、マルコに会ったのあのくらいのとき?」

「…」

そうだ。
だから、思わず見てしまったんだと、思う。
あのくらいの、頃だった。

「…そうだよい」

「そっかー」

大きくなったもんだよな。
もう一度、ぐしぐし頭を撫でて、そういえば、と思う。

「…お前は、泣かなかったねい」

おれを見て、泣かなかった。
いや、泣いてはいたが、おれを見て泣きはしなかった。

「こわくなかったのかい?」

「なんで?マルコ、優しいよ?」

あの頃から変わらないあたたかい手の平が、おれを手を握った。



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