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連載主とマルコとクルーたち
2010/03/01 22:58
「あ!チビ助っ!」
とっさに手を伸ばしたが、時既に遅し。
チビ助は見事なまでに、顔面から床に突っ込んでいた。
「へぶっ」
ゴッチン!
なんとも間抜けなチビ助の声と、盛大に床とデコがぶち当たった音が響いた。
それまで騒がしかった甲板が、水を打ったように静まり返った。
「…」
「…」
何事もなかったかのように、チビ助がむくりと顔を上げた。
「…あ…」
たらり、とチビ助の鼻から一筋の赤が…。
「っギャアアアアア!!」
周りから一斉に悲鳴が上がった。
それはもう、阿鼻叫喚といった有様だ。
おれはというと、さすがに呆気に取られて唖然としてしまったが、すぐに気を取り直しハンカチを出してチビ助の前にしゃがんだ。
「ママママルコ隊長!チビから鼻血があ!!」
「頭打ってるんじゃ!?誰か船医を呼べー!」
慌てふためくクルーはあえて気にせず、鼻血をたらしたまま固まってるチビ助の鼻にハンカチを当ててやる。
「大丈夫かい?」
「…びっくりした」
「まったく、なんで何もないところで転ぶんだい」
しかもなんで顔から…。
手をつけ。
手を。
「ごめんなさい…」
しゅん、としょげてしまったチビ助の頭をそっと撫でる。
「別に怒ってないよい。頭打ったけど、大丈夫かい?」
「うん」
「ハァ…。今度からは気をつけるように」
「うん」
赤くなったデコに若干の不安を覚えつつ、周りで当人よりも慌てふためいているクルーをどうしたもんか、とため息をついた。
どうやら、うちの船には過保護な輩が多いらしい。
小さい子は頭から転ぶので、ものすごく心配になりますよね
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