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連載主とマルコとサッチ
2010/02/26 19:14
とある島で見かけた白黒のボール。
チビ助の頭よりもでかいであろうそれを買い与えたのは、それをチビ助がじっと見つめて立ち止まったからだ。
「お!チビ、いいの持ってんな!サッカーボールか」
まあ、それにサッチが食いつくと分かっていたなら、決して買おうなんて思わなかったが。
「うん。まるこがかってくれた」
「よかったなー」
「うん!さっち、しってるの?」
まるこはしらなかった、というチビ助の言う通り、おれはサッカーとかいう遊びを知らなかった。
そんなおれにチビ助は教えるから一緒にやろうと言って、おれの腕を引いて甲板まできたわけだ。
サッカー、ねい…。
「おう。知ってるぞー。リフティングもできるぞ」
「ほんと?やって!」
「いいぜ。かしてみ」
チビ助からボールを受け取ったサッチは、ボールを下に落とさずに、器用に脚だけで何度も蹴り上げる。
何度も青い空に浮かび上がるボールを、輝いた目で見つめるチビ助。
「さっちすげー!」
「だろー?」
すごいすごいとはしゃぐチビ助と、満更でもないようすのサッチ。
「…チビ助もやってみろい」
「えー…?できないよ」
「そう言うなよい」
ポーン、とサッチが膝で蹴り上げたボールを空中で捕まえて、チビ助の前に置く。
「ほら、やってみな。なんだって、やってみねェとできねえよい」
少し俯いた頭をぐしぐしと撫でる。
「お!チビ、やるか?おれが教えてやるよ」
「さっち…」
「チビ助ならできるよい」
「うんっ」
いつものように眩しい笑顔で頷いたチビ助に、おれも笑顔で頷いた。
こどもの挑戦
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