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連載主とマルコとサッチ

2010/02/25 02:00

「いくぞー」

「うん」

「せーのって、わーっ!」

「わーっ!」

「うぁああ!チビが飛んだぞ!誰かキャッチしろー!」

「さささささっちー!!」

「チビー!」

「…なにやってんだい」

からりと晴れたある日、甲板に出でみるとどういうわけか、ポーン、とチビ助が空を舞っていた。

「マルコ!いいところにきた!チビを受け止めろ!」

両手いっぱいに白いシーツを抱えたサッチが焦った顔でそう言った。

「まるこー!」

降って来るチビ助は、おれを見つけた途端に笑顔になった。
お前、それどころじゃないだろうが。
状況はよくわからないが落とすわけにもいかず、慌ててチビ助をキャッチする。
たいした体重でもないから、痛みはないがさすがに心臓に悪い。

「なにしてんだい。怪我するだろい」

「ごめんなさい!まるこ、ありがとう!」

反省してなさそうな笑顔で抱き着いてきたチビ助にため息をもう一度ついて、ほっと息をついたサッチに目を向ける。

「なにしてたんだい」

「いや。乾いたシーツを畳むの手伝ってもらってたらよ。急に強い風が吹いて、シーツが舞い上がってよー。ついでにチビも舞い上がったってわけだ」

なんだそりゃ。
まったく、なにをやっているんだか。

「間抜けだねい」

「びっくりした」

そう言うわりに、楽しそうに笑っている。
なんというか、日に日に肝が据わってきている気がするのはおれだけか…?
まったく、誰に似たんだ。

「ちょうどいい。マルコも手伝ってけ!」

「はぁ?」

「まるこもやるの?」

「……。ハァ…、やるよい」

チビ助の頭を一撫でして、下におろす。
ニヤニヤ笑うサッチを無視して、即席で作られた物干しからシーツを一枚とる。
ふわりと温かな香りがした。

「チビ助、お手伝いお願いできるかい?」

「うん!」

元気よく頷いたチビ助に、シーツの端を渡した。



「またチビが飛んだぞー!」

「ぎゃああ!」

白いシーツが舞う中、甲板に家族たちの笑い声が響いた。




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