ああ、なるほど。そういうことね。


* *


「犯人は、私達六年生――ではない」
「勿論、五年生――でもありませんよ!」
楽しげに、仙蔵と三郎が宣言した。
タカ丸につれてこられたのは、最初に俺が昼寝をしていた、校庭の隅の大木だった。
その影で、五六年生が数人のんびりしていた。俺とタカ丸がその場に現れると、おそーい、と不満げでありながら面白がっているような声が上がった。
「犯人がどの学年の生徒でもないってことは……」
「先生方も、犯人ではない」
仙蔵が得意げに言った。
――誰も犯人ではない、ってことは……。
「――なるほどね」
呟くと、その場のみんなが顔を見合わせて笑った。
「さすが委員長、ご明察」
兵助が微笑んだ。


* *


誕生日のお祝いなんて、可愛らしいことを言いだしたのは一年生。
贈り物は花にすればどうかと提案したのが二年生。
どこにどんな花が咲いている、と教えたのは三年生。
美的センスならお任せ、と四年生。
ただ渡すだけではつまらないと言ったのが五年生。
寝ている俺に気付かれないよう花を贈るという芸当を、難なくやってのけた六年生。


――これは、また全員にお礼を言って回らなきゃあ。


この花をくれたのは


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