カチャリ…私は探し出した隠しカメラの電源を落とすとナースステーション付近から探し出した爆弾を自分のベッドの上に並べた。
「なるほど、ベルモットはジョディさんになりすまして楠田の情報をキャメルさんから…。」
「ああ、だからベルモットは盗聴器を持つオメーが俺に注意を呼びかけないように、予め病室やナースステーションに仕掛けをしておき、退院を担当医になりすまして明日へ延ばし、この病室に赤崎を閉じ込めたんだろうよ。」
カメラが機能していないことを確認して、工藤を私の病室に呼び出すと事のあらましと彼の推理を聞く。
どうやら昨日のうち…いや、ずっと前から仕組まれていたことらしい。
「…そうだよね。渋谷夏子さんの容態が悪化したと私が知れば…すぐにこの病院で確認して、それがベルモットのついた嘘だと、知らせられるからね。」
「しかし、なんて用意周到なんだ…流石は…」
「ゼロ。」
「そう、それだ…1つ疑問が。何故安室さんはオメーを危険に合わせるような真似をしたんだよ?」
「…どういう事?」
首をかしげる私に工藤は溜息を吐いた。
「元とはいえ殉職した上司の娘であるお前を…ましてや好意を持っている異性を危険に晒すはずがない。」
「こ、好意って…!」
「バーロー、見てたらわかんだよ、俺だってそうだから…。」
そっか、蘭を見ている自分に安室さんが重なって…。
いつもいつも側に居るはずなのに想いを伝えることが叶わない工藤のことを思うと、胸が痛かった。
でもきっと、工藤の立場なら私も同じ様にしているだろう。
…それに比べたら私なんて…伸ばせば手の届く位置に彼がいる。
でも、伸ばせるこの位置が丁度いいのかもしれない。
今手を伸ばせば、その手が触れることなく、彼が消えてしまいそうな気がして…。
「そ、それよりこれからどうする?流石にもうバレたんじゃない?」
「…ああ、それ何だが、少し考えがある。ちょっと話を…と言いたいところだが、お前…この爆弾どーすんだよ?警察に渡すわけにもいかねーし…ジョディ先生達に渡して…」
「いい。続けて。」
「はあ?だから話は爆弾の処理はどーするんだよ。」
「大丈夫。話を聞きながらでもそれは出来るから。」
そう言うと少し首を傾げた工藤が何かに気付いたようにハッとした。
「…少しばかり、手先が器用なんでね。」
私はそう言ってニヤリと笑うとガラリとテレビ机の引き出しからピンセットとニッパーを取り出した。
「お前…解体…すんのか…!?」
「うん。大丈夫。構造は理解してるし、爆弾解体くらい工藤も出来るよね?」
「出来るけど…お前、それをどこで…」
「ん…内緒。はやく話を続けて。そろそろ帰りが遅い…って蘭から電話来るんじゃない?」
「あ、ああ…。」
爆弾を解体し終えた頃には工藤の話も終わっていた。
工藤の読みが正しければ安室さん…いや、零君は本当の仲間と赤井さんが沖矢昴として住んでいる工藤邸に訪れるらしい。
そして仲間の半分はジョディさん達を捕まえるために…
「…で、私はどうすればいい?」
「あー、オメーは大人しく退院手続きでもしてろ。」
「はあ?」
「手続きはジョディ先生にお願いしてあるからよ…で手続きが終ったら先生達とは別れて…そこに来る人の言う事に従って貰おうか。」
「…大体、考えが読めた気がする。」
「流石女子高生探偵は伊達じゃない…ってか。」
「名探偵に言われるほどじゃないけとね。…で、それが終われば私はどうすればいい?」
「…それはオメーに任せっからよ。赤崎のやりたいようにしてくれ。」
「…工藤。」
「折角…手の届く位置にいるんだからよ。」
切な気な表情で病室の外を見る工藤に言葉を返せずにいると、彼はその手に震える携帯を取り出した。
「…やべっ!蘭だ…じゃ、また何かあったら言えよ?」
「あ、…工藤!」
「…どうした?」
「ありがとう。私、頑張るから…そっちも気を付けて。」
「…ああ。赤崎もな。」
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