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「やっぱ隠してるんじゃないかなあ…エロ本。」

「え、エロ本?」

書斎で資料を探す工藤を待つ間、キッチンで蘭達と紅茶を飲みながら雑談をしていた。


「だって新一君、私達に資料を探させないようにコナン君に頼んでるのよ?これはもうエロ本を隠してるとしか…!」

「まさかぁ…。」

「だって毎月勝手に蘭に掃除させてたのに、その写真だけ探させないって怪しくない?」


「いや…」


園子と蘭が工藤について話していると棚をゴソゴソと調べていた世良さんが口を開いた。


「隠してるのは、女の存在かもね。」

「お、女!?」

世良さんの発言に蘭は思わずガタリと立ち上がる。


「見ろよ!髪留めのゴム…女ってついついこういう棚の上に置いちゃうんだよな…」

「そ、それ、多分私のかな…?」

「はあ?三月の?」

「最近良く勉強見てもらいにここに来てるから…ほら、勉強中は髪が邪魔だし、ゴムで括るから…。」

「…でも、洗う前の食器の中に…口紅を親指で拭ったグラスも混ざってるけど?三月君は口紅なんてしなかったよな?」


世良さんはシンクからグラスを手に取りこちらに見せ付ける。

「…私も休みの日は口紅くらいするんだけどな…。」

「そして洗い場の排水口には長い髪の毛…カツラの毛みたいだけど…」

「ま、まさか新一君、女を連れ込んで浮気を!?」

「(ないない…。)」


恐らくヘアゴムも口紅も工藤のお母さん、工藤有希子さんの物だ。
さっきの工藤の説明と沖矢さんの反応で大体理解した。


「ーーって言うか、工藤君はしばらくこの家を開けてるんだろ?普通に考えたらさっきの昴って男が連れ込んだ女何じゃないのか?」

「…って事は三月!あんたまさか安室さんと言うイケメン彼氏がいながら昴さんと…!?」

「ないない。ただ勉強教えて貰ってるだけだよ。」




「それに、いつも三月姉ちゃんがここに来る時は僕もいるからね!」

「コナン君…。」


工藤、来るのが遅い…と心の中で留めつつも会話は続く。

「ほら、コナン君もこう言ってる事だしさ!園子もあんまり詮索はしない!」

「えっと、写真持ってきたけど…」


どうやら蘭達が探していた資料は昔に優作おじさんが唯一サジを投げた事件らしい。
その事件の続きと思われる事件が、ついさっき蘭達の前で起こったらしい。


「そっくりだな…この“死”っていう血文字…」

「血文字?」

「ああ、さっきの現場にもこれと同じ血文字があったのさ。」


世良さんは自分のスマホと資料の写真を見せてそう答える。

「10年前の殺人犯がまた現れたって事!?」

「ああ、ネットで調べたら10年前の血文字の写真は公表されていないから…」


10年前、血文字…死…
確か、母さんもその事件に刑事として関わっていたはず…


「でも、死体の側にこの“死”って文字を書く犯人は…もう二度と現れないって…」

新一兄ちゃんが10年前に父さんからそう聞いたって言ってたよ!

そう言う工藤に蘭も同意する。
優作おじさんが数年前にサジを投げた事件…何か裏がありそうだが。

世良さんはその10年前の資料を広げた。

「死」の血文字について知っている物は極わずか、共通点は書体の酷似しているその血文字と、一見、殺人には見えない遺体…

資料を見詰めていた沖矢さんも話に混ざる。

出しゃばってすみません…そう言う沖矢さんの顔を世良さんはじっと見つめている。
やはり、彼と世良さんの目が似ているのと、何か関係が…。

蘭達が出くわした現場に駆けつけた高木刑事に電話をつないで詳しい現場の調査結果を聞くも、どうやら只の窃盗だと追い返されてしまう。


「…工藤。その事件、私の母さんも捜査に関わっていた。目暮警部も関わっていた筈だよね?」

「…ああ、あの血文字は警部もしっかりと見ていたはず…なのに、何で…。」


私と工藤がこそこそ話していると、世良さん達は「警察ぐるみで隠蔽しているのでは」と疑うが、目暮警部に限ってそんな筈は…騒ぎ立てる園子に少し視線をやるとコチラを見ていた沖矢さんと、目が合った。


「でもさ、新一のお父さんがそんな理由で事件から手を引くとは思えないけど…」

蘭がそう言うと園子もそ、それはそうね…と同意する。


「だったら、相談してみてはいかがですか?…推理好きの君のクラスメートの…金一君に…」

金一…って誰だっけ?













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