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「君が転校してきたって言う高校生探偵?」

「多分そうかな。赤崎三月です。君は?」

「僕は世良真純。こう見えて僕も探偵なんだよ。」


世良真純という男の子にも見える女の子は私の机の前に立つと自己紹介をはじめた。
どうやら転校初日、彼女は欠席していたらしい。
工藤が復学すればこのクラスに探偵が3人…どんな状況だよ、私は苦笑いを零す。

蘭達いわく、どうやら世良さんもかなり頭の切れる探偵らしい。
「君には及ばないよ」
と謙遜して見せるが、私も工藤に比べればまだまだ。そして世界にはもっと凄い探偵がいる。
しっかり火の点いてしまった探偵トークに蘭も園子も少し呆れ顔の中、予鈴が鳴った。



「そうだ、三月明日うちに遊びにこない?」

「え?蘭の家?」

「そうそう。コナン君、三月の事気に入っちゃったみたいでさあ。解決した事件の話とか聞かせてあげてよ!」


多分工藤が私が探偵事務所へ来るように仕向けているんだろう。
幸い、明日は予定がない。
二つ返事で頷くと、蘭は嬉しそうに笑った。



その日はまた阿笠博士の家へ呼ばれていた。
ガチャ…と音を立てて中へ入ると博士に中へ入るよう、促される。


「お邪魔します、阿笠博士。」

「おお、待っとったぞ、今日は渡したい物があったんじゃ。」

「渡したい物?」


これじゃ、と博士が差し出したものはメガネとボタンの様な物だった。


「追跡メガネと発信機じゃ。新一にも同じ物を渡してある。」

受け取って試しにつけてみるとレンズ越しに見えているものを拡大できたり、発信機の位置も完璧だ。
博士にありがとう、と言ってメガネを外そうとすると、急にメガネのレーダーが複数反応した。


「博士、なんかメガネが反応してるんだけど…。」

「おお、帰ってきたか。」


という博士の発言にはてなマークを浮かべていると、ガチャ、と玄関の開く音がしたと思えばバタバタと複数の足音が聞こえてきた。
それと同時にレーダーも強く反応している。


「博士ーー!こんにちは!」

「遊びに来たぜーー!」

「あれ?このお姉さん…誰ですか?」


リビングへ入って来たのは小学生くらいの男女だった。
中には哀ちゃんと工藤の姿もある。
どうやら少年探偵団、と言うものを結成しているらしく、工藤と哀ちゃんを引き込んで博士の家に入り浸っているんだとか。

腰を屈めて自己紹介するとよろしく!と手を差し出されたので握り返した。



「お前ら、暗くならねえ内に帰るぞ!」

「ええ!もっとあそびたい!」

「また日曜に警視庁に行くだろうが!」


子供たちは工藤の言葉に渋々頷くと、博士の家を出てそれぞれの帰路についた。

私と工藤は並んで歩いている。


「日曜に警視庁って?」

「ああ、警視庁のパンフレットの写真撮影だと。俺達がモデルする事になってさ。」

「へえ、凄いじゃん。…哀ちゃんも?」

「バーロー、あいつは顔を大っぴらにするわけにはいかねえからな。撮影にも行かねえよ。…お前こそ、大丈夫なのか?」

「一応、警部たちには名前を隠すように言ってあるけど…まあ、ターゲットは両親だったみたいだし、組織は私には興味無いと思うよ。」


だったらいいんだけどよ。工藤は腕を頭の後に組んで空を見上げた。


「ねえ、工藤。」

「…ん?」

「初めて会った人に、一目惚れしました。って言われたら、どうしたらいい。」

「…は?」

「だから!一目惚れですって言われたの!」

「…誰が」

「私が!」

「…誰に」

「…ポアロで働いてる、安室さんて人…。」



えええええという工藤の悲鳴が道いっぱいに響き渡る前に両手で彼の口を覆い塞いだ。


「あんなイケメンが普通私みたいなのに一目惚れする…!?」

「お世辞じゃねえのか?」

「…とにかく!どうしたらいいと思う?」

「どうしたら…って、別に一目惚れって言われただけで付き合ってください、とか告白はされてねーんだろ?」

「…うん。」

「じゃああんまり気にしなくていいんじゃねえか?そう言われたらまたその時考えろ。」

少し投げやりな工藤をジト目でみていると、丁度毛利探偵事務所の前に着いたので、彼とはそこでお別れになった。


「赤崎。」

「ん?」

「お前、黙ってれば可愛いんだから、自信持てば?」

「…ばーか、そう言う言葉は蘭に取っておきなよ。じゃあね。」


柄にもない言葉を言う工藤に少し顔を赤らめながらも手を振り別れる。

喫茶ポアロはそろそろ夕食時のお客さんで賑わっていて、チラリと中を除けば笑顔で接客していた安室さんと目が合ったような気がした。










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