打ち合わせをする班は全部で3班。担当の華桜会生を交えてのスター枠の班の打ち合わせもある。

無事何とか舞台設備専攻の仲間達と合流(みんなそれぞれ彷徨っていたらしい)する事にも成功し、目的の打ち合わせ場所にも辿りついた。

何とか2つ打ち合わせをこなし、最後の班の打ち合わせになる部屋へ向かった。
数回ノックして部屋に入るとそこには最後の班が集まっていた。


「あーー!華咲っ!」
「星谷君…!スター枠だったの!?」


まさかそこには公演で出会った彼、星谷君がいたではないか。実力はまだまだだけど伸びしろがある人だと思っていたんだけれど、まさかスター枠なんて。


「星谷君、知り合い?」
「公園で練習中に知り合った子!」
「まさか星谷に女子の知り合いがいたとはな。」
「先を越されたな天花寺。」
「なんだと月皇!」


なにやら赤毛の男子と青髪の男子が言い争っている中、星谷君ともう1人の小柄な男子がこちらに近付いて来る。止めもしない辺り二人のケンカは日常茶飯事なのだろうか。

「僕は那雪透。team鳳のメンバーです。あそこで喧嘩しているのが歌舞伎役者で梨園の貴公子天花寺翔君、もう1人が綾薙学園へ首席で入学した月皇海斗君。」
「か、歌舞伎役者…首席…team鳳って凄い人達が集まってるんだね。」

僕は全然凄くないんだよ、と焦る那雪君。あわあわしている姿が可愛らしいと思ったが卯川君の件もあるし言わないでおこう。


「それにしても星谷君がスター枠だったなんてね。」
「なんかよくわからないけど気付けばスター枠で合格してたんだ。…うちの班はあまり評判が良くないみたいだけど。」
「そんな事無いよ、良くない評判なんてステージで返上したらいいんだよ。」

「お前、なかなかいい事言うじゃねえか。」
「珍しく同意だな。」


星谷君と話していると喧嘩をしていた2人も会話に混ざってきた。うわ、team柊もそうだったけどこっちの班も美形揃いだなあ。


「天花寺翔だ。ま、精々俺の足を引っ張らない事だな。スポットライトは全場面俺様に当てておけよ、庶民。」

庶民ってなんだ…苦笑いを浮かべて星谷君を見ると「天花寺はこういう奴だから」と苦笑いが返ってきた。

「月皇海斗だ。舞台設備無くして舞台は成り立たない。しっかり頼む。」

天花寺君とは裏腹に月皇君は冷静な人という印象だ。言葉はともかく、2人とも舞台を大切に思っているのが伝わってくる。
あれ、そう言えばteam鳳は4人の班では無いはずだ。華桜会の先輩もまだ来ていない。資料で確認しようとファイルを開こうとするとまたまたジャストタイミングで扉は開いた。


「悪い、遅れた。」

何処かで聞いた事がある声だ、と振り返るとそこにはなんとバイト先の知り合いがいた。


「く、空閑君!?」
「…華咲?」

綾薙だとは聞いていたけれど、まさかミュージカル学科、しかもスター枠だったとは…。

「なになに?空閑も華咲と知り合い?」
「バイト先が同じなんだ。」
「あ、そっか、華咲バイトやってるって言ってたもんな。」
「まさか空閑君も星谷君と同じスター枠だったとは…世間って狭いね。」
「後は鳳先輩が来るのを待つだけだね。」
「鳳先輩…華桜会の先輩だよね?」
「ああ、めちゃくちゃ歌も踊りも上手いし稽古も面白いんだ!」



僕も先輩の稽古好きだな、と頬を染める那雪君を可愛いと思いつつそれだけ鳳先輩と言う人物は後輩達から慕われているのか、と少しあうのが楽しみになった。

「そういえば来る途中に鳳先輩に会ったんだが、少し遅れるそうだ。先に始めててくれって言ってた。」
「じゃあ先に始めますか。」







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