敵対関係





ホグワーツ特急に乗り込みなまえは久々の実家に戻っていった。
汽車の中での話題はもっぱら、クリスマスプレゼントについてで、今年はどんなプレゼントが欲しいだとか、何処に買いに行くだとか思い思いの話をした。

「何でも貰えるなら私は透明マントとかが欲しいわ。」
「え...!」
冗談のつもりで呟いたなまえの言葉にチョウもマリエッタも動揺をみせた。まさか御伽話を信じているわけではないだろうか。

「なまえ....絵本は読むのね。」
「私本は読まないけど小さい頃に絵本くらいは読んだわよ。」

よく小さい頃母に絵本を読んでもらった。絵本は大好きだ。本と違って文章がいっぱいあるわけではないし、絵があって分かり易い。
と同じ思考なのか、父であるキースも絵本が好きだった。
などとなまえは家族を頭に思い浮かべた。


ホグワーツ特急が駅に着くとなまえはチョウ達と別れ父の姿を探した。
キースの見つけ声をかけようとしたのだが、父が誰かの親と話している様子を見てなまえは口を閉ざした。

「なまえお帰り。」
「....ただいま、父さん。」

なまえが父の隣の人物を控え目に見るとその人物はまるでなまえを品定めするかのように見る。黒いローブに長いプラチナブロンドヘアー。何処かで見たことがある様な姿に失礼だがなまえは好感が持てなかった。

「ほう、君がなまえか。」
「....こんにちは。」
「なまえ、こちらはルシウス・マルフォイさんだ。」
「ルシウス・マルフォイだ。」

ルシウスはどこか冷たい視線をなまえへと向けた。
それを察したなまえは苦笑いを浮かべることしか出来なかった。マルフォイ、と言う事は彼はきっとドラコ・マルフォイの父で、大方マグルとハーフ(半純血)の自分が気に入らないのだろう、と悟る。好感が持てないのも頷ける。
サラサラなブロンドヘアーも、どこか意地の悪く気取った顔もドラコソックリではないか。

ルシウスはドラコの姿を見付けると「失礼。」と言い、この場を後にした。
なまえとキースは帰路に着く。

「私の在学中の知り合いでね。」
「仲が良かったの?」
「まさか!敵対していたさ。」

やっぱり?となまえが笑うとキースはそんな事より、と続けた。

「ハリーはどうだった?」
「ああ、彼なら大丈夫そうよ。友達もいるわ。えーっとウィーズリーの双子の弟と、とっても優秀な女の子の友達。」

ハーマイオニーについてなまえは両親共マグルの方なんですって、と説明するとキースは嬉しそうに笑みを浮かべる。

「....何故そんなに嬉しそうなの?」
「え?ああ....リリーも、ハリーのお母さんのご両親もマグルだった。とても優秀な。」
「....驚いた。ハリーのお母さんって、スネイプ先生と幼馴染みで仲が良かったのよね。てっきり純血の魔女とばかり....。」

キースはおいおい....となまえに言うとおかしそうに笑う。

「彼はなまえが思っている程悪いやつじゃない。」
「あら、敵対同士じゃなかったっけ?」
「昔は、ね。」

そうこう話している内になまえ達は家の前にたどり着いていた。
きっとこのドアを開けると母が笑顔で向かい入れてくれるだろう。
なまえは大きな我が家の扉を開いた。
暖かい匂いが広がった。今夜はシチューかな。





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