行方





レイブンクローの陣内へと切り込んで来たハッフルパフのチェイサーは細かくパスを出しながらなまえのいるレイブンクローのゴールへと近付いてくる。
それはあっという間になまえの前へと到達してしまう。

「ミナミ!」

なまえは投げ込まれたクワッフルを視界に捉えると箒を加速させて手を伸ばす。
「届け....!」

パアンとなまえの手によって弾かれたボールは、今度は味方側のロジャーの手に渡る。
ロジャーはひらりとチャージを交わすとクワッフルをゴールへと投げる。
敵のキーパーも捉えられないような速さで投げ込まれたクワッフルは3つのうちの1つのゴールへと見事に入った。

「ロジャー・デイビースの得点!レイブンクロー10点獲得!!」

実況者でありなまえの友人であるリー・ジョーダンが得点の実況を入れるとレイブンクローの応援はワアアと歓声を上げる。
レイブンクローの先制点だ。

その勢いでレイブンクローは波に乗り10点、また10点と得点を重ねた。

なまえも一つだけ得点をハッフルパフに許してしまったが、それでもなおレイブンクローがリードを続けている。
リーがまた新たな実況を入れた瞬間、会場は一層盛り上がる。両シーカーが金のスニッチを見つけたのだ。

レイブンクローのバジルもハッフルパフのセドリックも横並びになりながらスニッチを追った。
2人がスニッチを追っている間にも試合は動いているわけで、なまえはクワッフルに集中した。

なまえはその後1本敵のシュートを防ぐと周囲の異変に気付いた。
自分の側で羽音が聞こえる。

はっとなまえが振り返り視界の端に金色に光るスニッチを捉えた瞬間、背中に大きな衝撃が走り、なまえの意識はフェードアウトしていった。




なまえがはっと目を覚ますとそこは箒の上でもスタジアムでもなくホグワーツの医務室のベッドの上だった。
なまえがふらふらと起き上がると急な頭痛に思わず頭を抑える。

「なまえ、大丈夫?」
「チョウ....?何が何だか。」

よく見るとベッドの周りにはチョウやマリエッタだけでなくチームメイトのロジャー達も立てってなまえを見つめていた。

「まずはなまえ、初試合は勝利だ。バジルがあの後スニッチを掴んだ。」
「....あの後?」
「あなた、スニッチを追い掛けていたセドリックと衝突してスタジアムに真っ逆さまに落ちたのよ。」
「2人仲良くね。」

成程、あの時なまえの周りをスニッチが飛んでいたし、背中に受けた衝撃はスニッチを無我夢中で追い掛けていたセドリックと衝突したものという事も説明がついた。
ちらりと横のベッドを見るとセドリックがハッフルパフのチームメイトに囲まれているのが見えた。
いくらなんでもぶつかって来たのはセドリックの方だ。なまえにまずはじめに謝るべきでは?と怒りを顕にしているマリエッタをチョウが宥めた。


そうこうしているうちに面会時間は終了し、なまえは今日は医務室で泊まることになった。
それはセドリックも同じだったようで、お見舞いがいなくなりやっと2人はお互いに顔を合わせることとなった。
セドリックは衝突の件についてなまえに謝ると話を続けた。
「やあなまえ。調子どう?」
「最悪ね。....って私の事知っているの?」

セドリックはああ、と笑う。
「スリザリン20人プラストロール切りのなまえはハッフルパフでも有名人だからね。」
なまえは苦笑いしか出ない。

「不可抗力よ。先生から見たらただの問題児だし。」
「そうかな?凄くかっこよくないかい?」
「ハッフルパフのおじ様よりはね。」
「おじ様って....君最高だね....ほんと。」

王子様だよ....自分で言うのは変だけど....とセドリックはお腹をかかえて笑っている。
成程、男女問わず周りから好かれる訳だ。セドリックを見ながらなまえはある一人の顔を思い浮かべた。そうだ。彼はスリザリンのアルフォードに似ている。顔はアルフォードの方がハンサムだな、などと思いつつなまえはセドリックとの話を続けた。









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