初試合は
トロール騒動の翌日、待ちに待ったなまえのクィディッチの初試合だ。
なまえ達レイブンクロー対ハッフルパフの試合はグリフィンドール対スリザリンの後で行われる。
生徒が朝食を摂るため大広間に集まる中、なまえはと言うと食事も喉を通らないと言うような状態だった。
「なまえ、大丈夫?」
「気持ち悪い....。」
「驚いた、この間の選考会の時といいなまえは緊張しいなのね。」
チョウがなまえの背中をさすりながら言うと水を差し出す。
なまえはチョウからもらった水を飲み干すと腹痛を感じ、すぐさまトイレへと駆け込んだ。
何とかお腹のものを排出し、食欲も出たところでなまえはトイレから出て大広間へ向かおうとすると、今日は以外な人物と出くわした。
「なまえ....。」
「セルファーナ。」
去年のバレンタイン以来である、スリザリンのアルフォードだ。去年と比べて少しだけ背丈の伸びた彼は少しだけもじもじしながらもなまえに話しかける。
「あの....なまえ。」
「何?私今日は急がなくちゃ。」
「ごめん、でもなまえ、あの。」
はっきりしないアルフォードに少しだけ苛立ちを覚えたなまえは、もう一度口を開こうとしたが、それよりも先にアルフォードは口を開けた。
「今日は、頑張って....応援してるから。」
顔を赤くして必死に訴える彼になまえの時は一瞬止まった。
頑張って、と。そのただの一言の為に彼はどれ程の勇気を振り絞ったのだろうか。
間を空けたなまえはくすっと笑ってこう返した。
「ありがとう。頑張る。」
食欲を取り戻したなまえはがっつく様に朝食を食べ始めたのだが、突如現れたウィーズリーの双子が「ウッドの初試合は頭にブラッジャーをぶつけて2週間も起きなかったらしいぜ。」と言われてなまえの頭からリラックスなんて言葉は吹き飛ばされてしまった。それでもどことなく機嫌の良いなまえを変に思ってマリエッタが問掛けてもそれに対してのハッキリとした返答がなまえの口から返ってくることはなかった。
食事の後はユニフォームに袖を通しいよいよ試合の最終調整に入った。
酷く歩き方のぎこちないなまえの前をグリフィンドールの選手達が通り掛かった。
「やあなまえ」「頑張れよなまえ」
「二人もね。」
双子が両肩に手を置き喋ると前に進む。
他の選手のウッドもアンジェリーナもアリシアもぎこちないなまえにくすっと笑って「頑張って、幸運を。」とエールをくれた。
「なまえ!頑張るのよ!」
「ケイティ!」
なまえは友人であるケイティにしがみつく。ケイティはやれやれとなまえの背中をさすりながらも大丈夫よ、となまえを安心させる。
「でもなまえ、年下のハリーより緊張してるわよ。」
「始まるまでだけだから大丈夫よ....多分。」
ケイティの横にいたハリーも苦笑いだった。
ハリー達を見送ったなまえはチームの元へと集まった。
ロジャーは「朝より緊張がマシになったんじゃないか?」となまえを茶化した。
最後に作戦確認をして、相手チームのメンバーについて話し合う。
「今年は向こうもニューシーカーだ。確か3年の....」
「セドリック・ディゴリーだね。負けるなよバジル。」
「通称ハッフルパフの王子様だってさ。」
「ええ、かなりのイケメンよ。なまえも見たことくらいあるでしょう?」
「ハッフルパフの....おじ様。」
「駄目だコイツまだ緊張してる!誰かチョウとマリエッタ連れてこい!」
結局緊張のあまりなまえはグリフィンドールの試合も見られないまま自分達の試合の時間となった。
多くの完成と吹奏楽の楽器の音がなまえを更なる緊張へと誘った。
選手達は一斉に箒に乗って飛び立つと自分のポジションについた。
なまえはキーパーなのでレイブンクロー側のゴール前だ。
後ろの方の観客席にはチョウもマリエッタも座っていてなまえを応援している。
緊張も大分落ち着いてきたなまえは周りをぐるっと見渡す。
相手選手を確認していると相手側のシーカーと目が合った。あれがハッフルパフのおじ様....もとい王子様のセドリック・ディゴリーか。と考えている内にフィールドの下でマダムフーチが試合開始の合図を出そうとしていた。
ボールの箱が開かれ、先にブラッジャーとスニッチが飛び出す。クワッフルが上がり試合開始となる。
まずクワッフルを取ったのはレイブンクローだ。
ロジャーはチェイサーに的確な指示を出しハッフルパフのゴールへと迫る。
先制点と思いきやロジャーのシュートしたクワッフルは見事相手のキーパーがキャッチし、今度はハッフルパフの攻撃となる。
なまえはぐっと顔を引き締めた。
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