ハロウィンの悲劇・再
今年もお待ちかねのハロウィンがやって来た。
去年同様その日の大広間はハロウィンの装飾でいっぱいになった。
なまえは去年に自分に起きた悲劇をもう繰り返すまいとポケットにお菓子をパンパンに詰め込んで悪戯しようとしてくる輩に備えていた。
「「ハッピーハロウィン。」」
言わば決戦大広間にマリエッタとチョウと乗り込むとケイティとリーアンが待ち構えていた。
2人はパンパンにお菓子が詰め込まれているなまえのポケットを見て、なんだつまんないの。と肩をすくめた。
「去年の私とは違うわよ。」
「見たいね。」
「ウィーズリー対策も万全よ。」
今度は私が悪戯を仕掛ける番よと意気込むなまえの前に真の敵が現れた。
「「やあやあお嬢さん方ハッピーハロウィン!」」
なまえは来たなウィーズリーズと心の中で思い心の中でニヤリとほくそ笑む。
チョウ達がしぶしぶ双子にお菓子を渡すと、なまえだけがお菓子を渡していない形になった。
「おやおや?」「なまえは今年もお菓子がないのかい?」
「失礼ね。」
なまえは余裕の笑みを浮かべると自身の上着のポケットを盛大にひっくり返して中身を机の上に全てぶちまけた。
「さあ、フレッド、ジョージ。トリックオアトリート?」
「ちぇ。」
2人は悔しそうにお菓子をなまえに渡すとなまえがぶちまけたお菓子の1つを手に取り、ぱくりと食べた。
なまえはそれを見てしてやったりと言うような顔をした。その瞬間フレッドとジョージの顔が青くなるのが分かった。
「名付けて大量のカラシ入りマフィンよ!」
「か、辛いいいいい」
「あんた魔法が得意なんだからもっとましなの作りなさいよ。」
ひいいいと声をあげて火を吹きそうな程今度は顔を真っ赤にさせたフレッドとジョージが大広間中を走り回ると周りのザワザワ声は大爆笑の笑い声に変わった。
なまえも笑い転げ、チョウ達もお腹をかかえて笑った。
今年は最高のハロウィンだ、と誰もがそう思った。
しかし、自体は急変することになる。
料理が机いっぱいに現れ、誰もが料理や話に夢中になっているその時だった。
バン、と大きく扉が開かれたと思うと防衛術の先生であるクィレルが大慌てで走りながら大広間へとやってきた。しん、とあたりは静まり返り、どの生徒の視線もクィレルへと向けられた。
ダンブルドアも思わず立ち上がる。
もう悪い予感しかしない。
「トロールが!....地下室に!トロールが入り込みました!」
一瞬皆何のことか判らずにいるとクィレルは再び口を開けたかと思うとバッタリと倒れてしまった。
そのせいで状況が飲み込めたのか生徒たちはたちまち悲鳴をあげたり立ち上がり逃げ出そうとしたりした。
「静まれ!!」
鶴の一声とはこの事をいうのだろうか。
ダンブルドアが拡声魔法で声を張り上げると一瞬で場は静かになった。
「みな静かに。狼狽えるでない。」
その後は結論的に言うと生徒は監督生を先頭に各自の寮へと帰って行った。
しかしなまえはその時、来た道を引き返していく2つの小さな影を見つけた。
ハリーとロンだ。
なまえは彼らの行動を不審に思い、他の生徒に気付かれないよう彼らのあとを追った。どうにも嫌な予感しかしない。
廊下を走り抜けるもなまえは2人の姿をついに見失ってしまった。
暫くは静かな廊下を2人を探しながら歩いていると誰かの悲鳴が聞こえたのがわかった。声は女子生徒のものだ。
悲鳴がした方へ走ると、今度はドスン....と大きな音が鳴った。
もしかしたらと最悪な事態を頭に浮かべつつもなまえは音のした女子トイレへと入って行った。
たどり着いた時なまえが目にした光景は、大きな大きなトロールが両手を高く振り上げて生徒3人を襲っている所だった。
ウガアアと叫び声を上げるトロールになまえはすっと杖を構えると素早く唱えた。
「インカーセラス!(縛れ)」
なまえの杖から現れた縄によってキツく縛られたトロールはふらつき後ろへと盛大に倒れた。壁に頭を激突させたトロールはついでに気絶してしまった。
なまえはふぅ、と一息つくと襲われていた人物たちに声をかけた。
案の定、襲われていたのはハリーとロン。もう一人は名前もわからないグリフィンドールの女子生徒だった。先程の悲鳴は恐らくこの子のものなのだろう。
「大丈夫?」
ハリーもロンも余程怖かったのかなまえにしがみついた。背中を叩くなまえに2人は少しだけ安心する。大広間があれだけ悲鳴で包まれるほどトロールなんて凶暴で、怖いに決まっている。
なまえも余裕だったわけではなく杖を持つその手は少しだけ震えていた。
さて、縛り上げたトロールをどうしようと考えている間に、先生達が現場にたどり着いた。
マクゴナガルは声を荒らげて4人を叱るとハリー達が口を開くよりも先に女子生徒が口を広げた。
「先生、私のせいなんです。」
マクゴナガルにミスグレンジャーと呼ばれた少女は続けた。
「トロールを探しに来たんです。本で読んで、倒せると思って....でも駄目でした。3人が来てくれなかったら....今頃死んでいます。」
そんなグレンジャーの言葉に教師陣は開いた口が塞がらなかった。
なまえは真相を知らないがこんなに小さな女の子がそんな事をするなどとは到底思えなかった。
「助けに来たのだとしても、とても愚かな行いです。....グリフィンドールは5点減点です。....判断力に欠けています。」
とマクゴナガルはグレンジャーに言い放つと、今度はなまえ達の番だ。
「貴方達3人も、助かったのは運が良かっただけです。.... その年で野生のトロールと戦って生き残れるものは多くありません、よって5点づつ....。」
ハリー達が息を呑むのがわかった。なまえはと言うと、心の中では減点には慣れているわと余裕な顔をしていた。
「3人に与える事にしましょう....。....その幸運に対してです。」
私達はマクゴナガルの言葉に顔を見合わせて喜んだ。
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