新体制






「グリンゴッツに強盗が入ったんですって。」

マリエッタが新聞を広げて言った。なまえもチョウも新聞を同じ様に眺める。

「あら、でも金庫の中身は空だったって書いてあるわよ?」
「間抜けな強盗だったって訳ね。」

と言いつつもなまえが興味深く新聞を呼んでいると何者かにバサっとそれは取り上げられた。
なまえが顔を上げるとジョージとフレッドが新聞をヒラヒラさせながらにやりと笑った。

「「ビッグニュースだなまえ!」」
「ホグワーツの次に安全なグリンゴッツに強盗が入り込む事よりビッグなニュースがあるのかしら。」

となまえが新聞を取り返そうと手を伸ばすもひらりとかわされる。

「「もちろんさ!」」
「ふうん。....どうぞ。」
「今年のグリフィンドールは」「クィディッチの選手がなかなか決まらなかった。」

あ、俺達は今年もビーターさ、とフレッドが笑って続ける。
「それはなぜ?」
「なぜかって?」「そりゃなんたって」
「「チャーリーの代わりが見付からなかったからさ。」」

そう2人の兄のチャーリーはグリフィンドールのキャプテンでシーカーだったが、彼は去年に卒業してしまったのだ。伝説のシーカーとまで言われた彼の後釜を探し出すのは流石に困難のようだ。

「そうね、チャーリーはすごい選手だったわ。」
「「だがしかーし!」」
「見つけたんだ!」「ニューシーカーを!」
「マクゴナガルが連れてきた!」「やつは最高だ!」

「....一体誰なの?」
なまえはゴクリと唾を飲んで双子の話に集中した。

「「ハリー・ポッターさ!」」
「え、ハリーが?だって、まだ1年生でしょ?」
「ああ、先生は1年生が選手になるのは100年振りだって言ってたぜ。」
「すごいわ、ハリー。お父さんの血を引いたのね。」
「お父さんの?」
「ああ、彼の父も昔シーカーだったみたい。私のお父さんが言ってた。」
「へぇ!そりゃすごい!」
「こりゃ優勝はうちに間違いなしだな!」

はしゃぐ2人になまえはにやりと笑いこう言った。
「それはどうかしらね。レイブンクローも負けないわ。」
「望むところだぜ!」


双子と別れて廊下を歩いていると先程の話に出ていたハリーに出くわした。
彼は上級生らしき人と一緒に廊下を歩いていた。

「はい、ハリー。」
「あ、なまえ!」
「ジョージとフレッドから聞いたわ。シーカーおめでとう。」
「ありがとう。」
「みょうじ、君もレイブンクローのキーパーになったそうじゃないか。おめでとう。」

となまえに声をかけたのはハリーの横にいた上級生だった。
彼は....そうだ、思い出した。グリフィンドールのキーパーのオリバー・ウッドだ。そう言えばフレッドとジョージが言ってた。今年のキャプテンは彼だと。

「ありがとうウッド。あなたもキャプテンおめでとう。」
ウッドはありがとう、と人懐こい笑みを浮かべた。

「さてハリー。練習しないとな。」
ウッドが木箱を抱えているところをみると、これから練習するのだろう。きっと中にはボールが入っている。

「そうね、初戦はもうすぐだもの。グリフィンドールはスリザリンとよね....。」
「ああ、奴等は卑怯な手を使ってくるだろうが、今年も負けないさ。」
「そうね。チャーリーに負けない最高のシーカーがいるもの。」

そうなまえが言うとウッドはニッコリと笑ってハリーの肩を持つと「そうとも」と言った。


振り返って歩き出したハリーの背中にどこか、チャーリーが被って見えたのは気のせいか。








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