クィディッチ選考会





今年もレイブンクローの談話室には大きくクィディッチ代表選考案内、と書かれたポスターが張り出されていた。

今年のキャプテンは上級生のロジャー・デイビースで、去年と比べ主力選手の殆どが卒業してしまったため、新しく選出される枠は少なくはないと希望者は意気込んでいた。
もちろんなまえとチョウは選考会に出るつもりで動きやすい服に着替え、スタジアムへと移動した。

「ええと、名前と学年、後は希望のポジションを言ってくれ。」

「チョウ・チャン、2年生よ。希望はシーカー。」
「なまえ・みょうじ同じく2年で、希望は一応....キーパー....。」

みょうじの名でピンと来たのか、ロジャーは期待してるとなまえに告げた。
それぞれのポジションのテストを行う事になり、なまえはキーパーのテストを受ける事になった。
内容は、チェイサーのシュートをどれだけ防ぐ事ができるかだ。
なまえ以外の上級生の何人かが立候補者で、まずはなまえから受ける事になった。
張り詰めた空気とロジャーからの期待にさすがのなまえもガチガチに緊張していた。観客席で見ていたマリエッタも、フィールドから見上げるチョウも息を呑んでいる。何時もあんなに余裕そうにしているなまえが緊張してガチガチだなんて、滅多にお目にかかれないのだった。

「「なまえいけ!!」」


ウィーズリーの双子も観客席からなまえの応援に来ていた。
彼らが何かを空に投げたと思うと、バン!と火花が上がり、それは徐々に形を変えて「fight!!」と言う文字に変わった。スタジアムで火薬を使った事と、他の寮で、しかも敵の選手と言うことでロジャーは「こら!ウィーズリーズ!」と彼らを追い払おうとしたが、どうやら無駄だったようだ。
普通、選考会に他の寮の物が来る事はないので彼らはとても目立つ存在だったが、緊張しているなまえにとって二人の応援ははいい起爆剤だった。

「....がんばるよ。」

笛が鳴りテストは開始された。
次々と飛んでくるクワッフルをなまえは持ち前の動体視力と1年間練習を重ねた箒捌きで見事にゴールを阻止した。
「ナイスだなまえ、速さも読みも悪くない、思った通りだ!」
「ありがとう、ロジャー。」

それなりの成果を見せたなまえは後は残りの結果を待つのみだった。
緩やかに降下しフィールドに降り立つなまえはチョウとハイタッチを交わした。

「なまえすごいわ!あんなにガチガチに緊張していたのに!」
「身体はなんとか動いたみたい。でも結果待ちの方が緊張よ....!」

なまえが心配そうに見守る中2人目のテストが始まった。
2人目は素早さは合ったが、読みがなかなか当たらずに苦戦を強いられていた。
それからテストは3人目、4人目....と続いていった。

キーパーに続いてチェイサー、シーカーとテストは続けられ、全てが終わると選手の発表のため、ロジャーが前に立った。

「シーカーはバジル・アイリス。控えがチョウ・チャン。」

来年こそは....と横で少し肩を落とすチョウを見てなまえの緊張は高まる。
チョウですら控えだなんて、もしかしたら自分は控えにすら入れていないのでは....。
と考えている間にチェイサーの発表は終わり、残るはキーパーとなった。

「ああ、帰りたい....帰りたい....」
「なまえ....あなた怖いわよ....。」
「ああチョウ、緊張でもうどうにかなってしまいそうだわ....!」
「なまえ落ち着いて。」

ロジャーは続けた。

「キーパーは....なまえ・みょうじ。」

なまえが名前を呼ばれた事に気付くよりも先にフレッドとジョージが空に大量の花火を打ち上げ、それはパンパンと音を立て空に大輪の花を咲かせた。
テストを身に来ていたレイブンクロー生やテストを受けた人達は歓声を上げて拍手をなまえに送った。

「なまえ!やったわね!なまえ!」
マリエッタも観客席から身を乗り出して叫ぶ。
喜びを隠しきれないなまえは隣にいたチョウに思い切り抱き付いて笑った。

「やった....!私、キーパーになったのね!」

その後は友人が手当たり次第なまえに飛び付いて祝福をした。
2年生がいきなりキーパーにつく事は早々ないらしい。


大広間に戻るとフレッドとジョージは早速「レイブンクローのニューキーパーはなまえ・みょうじだ!」と広めていた。

それを聞いてかグリフィンドールのチェイサーである、アンジェリーナ・ジョンソンに「あなた愛されてるわね」と茶化されると、「そんなんじゃ....!」と言いつつもなまえの顔は一気に真っ赤に染め上がった。


「フレッド!ジョージ! 」
「「やあ!なまえおめでとう!」」
「あ、ありがとう....じゃなくて!そんなに周りに言いふらさないで!....恥ずかしい....。」

なまえは俯いてしまい、2人はなまえの顔を覗き込みながら言った。

「おやおや」「ご機嫌斜めかい?」
「べ、別に怒ってなんかないわ。ただ....応援心強かったわ。」
「「おめでとうなまえ。」」

そう言って2人はなまえの頭をわっしゃわっしゃと撫でて祝福の言葉を述べた。

「ありがとうフレッド、ありがとうジョージ。」






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