噂のなまえ
授業も始まり、なまえにとっては地獄の日々が始まった。
もちろん課題をやっていなかったなまえは授業開始早々から罰を受けていた。
「スニベルス先生。これ、いつまでやるの。」
「レイブンクロー5点減点。終わるまでに決まっているであろう。」
罰は魔法薬学室で魔法を使わずにひたすら鍋を洗うというものだった。
「ハリーの目はリリーによく似ていると、父さんは言っていました。」
なまえがおもむろに呟くとスネイプは羽根ペンを動かす手をピタリととめた。
「だからどうしたというのだ。」
「いえ、ただ先生もそう思われたのかな、と。」
「だが性格は馬鹿な父親にそっくりだ、お前もだみょうじ。」
「ああ、よく言われます。」
鍋を洗い終えるともうすっかり消灯時間前だった。
もしレイブンクローの談話室に質問に答えられずに入れなかったら、監督生であるペネロピーの世話にならなければいけない。
それだけはなんとしても避けたくてレイブンクローの寮に帰るのは諦め、なまえは今日はグリフィンドールにお世話になろう、と談話室の方へと足を進めたのだが、暫く歩いてなまえはピタリと止まった。
いや、待てよ。グリフィンドールでお世話になるのは新学期に入って初めての事だ。
と言うことはグリフィンドールの合言葉は変わっているかもしれないと言う事になる。
一年生に寮に入れて欲しいと頼んでも怪しまれるに違いない。
しまった....と立ち止まって考えていると廊下の方から言い争いをする声が聞こえた。
「だから....なんだって!」
「....のくせに、....だぞ!」
恐る恐る廊下を覗くと、グリフィンドールの恐らく一年生がスリザリンの上級生に絡まれていた。
一年生はフレッドとジョージの弟のロンとハリーで、上級生の方は良く見るとヨークだった。
「お前の兄貴達には随分とお世話になっていてね....」
「ぼ、僕、関係ないじゃないか....!」
どうやらフレッドとジョージへの憂さ晴らしにロンを捕まえたようだ。助けに入ろうと機会を伺っていると、ハリーはダイアゴン横丁でハグリットに言われた通りの事をヨークに言った。
「や、やめろよ!」
「なんだ?ポッター。お前も酷い目に会いたいのかい?」
「僕らに手を出すと、なまえ・みょうじが黙っちゃいないぞ!」
ハリーは本当にハグリットに言われたとおりになまえの名前を出した。
ロンは横で訳のわからない顔をしているが、相手は幸いヨークだったので余計に効果的面だったようで
「みょうじだって!?」
急にオロオロし始めたヨークに溜息を吐きながらなまえはハリー達の方へと近づいて行った。
「ヨーク、あんた2年目になっても懲りてないのね。」
「みょうじ!?」
「この子達に指一本でも触れたらあんたどうなるか分かってるでしょうね。」
となまえが杖を出す仕草をすると、ヨークはひいいいと小さく悲鳴をあげて走り去っていった。
「これで暫くは大人しいと思うけれど。」
「なまえ!」
「大丈夫?ハリーと....君がロンね。」
ハリーとロンに近づきなまえが言う。
「何故僕の事を?」
「フレッドとジョージからあなたの事は聞いているわ。」
となまえが言うと、ロンは思い出したかのようにああ!と声をあげて言った。
「君がなまえ!?僕も兄貴達から聞いてるよ!“スリザリン20人切りのなまえ”!」
「あいつら....!」
その日ハリー達にグリフィンドール寮に入れてもらったなまえはフレッドとジョージを降参させるまで追いかけ回したとか。
なまえは双子のお陰ですぐにグリフィンドールの一年生の間では有名になってしまった。
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