2年目が始まる
なまえはカートの荷物を詰めると、目的のコンパートメントを探した。
なまえがキョロキョロと周りを見回していると「なまえ、こっちよ!」とドアから顔を出し自分を呼ぶ親友を見つけた。
「チョウ!マリエッタ!」
「なまえ、久しぶりね。」
3人は席に腰をおろすと自分達の持ち寄ったお菓子をコンパートメントの中に広げた。
「2人とも夏休みはどうだった?」
「私はずっと家の手伝いよ。」
「私は旅行に行ったわ!....ってそんなことよりなまえ、あなた課題は終わったの?」
チョウに詰め寄られるとなまえは視線を斜め下にうつし苦笑いをした。
チョウとマリエッタはそんななまえに暫く項垂れると吹っ切れたのかお菓子に手を戻し、違う話題に移った。
「なまえ、残念だけど、今年の監督生はペネロピー・クリアウォーターよ。」
とチョウが告げるとなまえはげ、と顔を歪めた。
レイブンクローの上級生ペネロピー・クリアウォーターは魔法が得意ななまえを勝手にライバル視してはやたら突っかかってくるなまえにとってはとても鬱陶しい人物の一人だった。
そんなペネロピーが監督生という事は、何かに付けて彼女がなまえに文句を言ってくるに違いない、と。
「これはもしかすると、なまえが勉強するようになる日は近いかもね。」
と、マリエッタが言うとなまえとチョウは声を揃えて言った。
「「それはないわ。」」
「そういえば、今年彼が入学するそうね。」
「....ハリー・ポッター?」
「そうそう!列車はその話題で持ちきりよ!一体どんな人なのかしら....。」
ハリーに妄想を膨らませる2人に、なまえはハリーの顔を思い出した。
例のあの人の呪いを跳ね返したと噂される彼は屈強でも無ければオーラも全くと言っていいほどない、本当に普通の男の子だった。
列車が着くと、例年通りにハグリットが一年生を集めていた。
今年の上級生は馬車での移動だった。
なまえ達はグリフィンドールの友人であるケイティとリーアンを見つけると、5人で馬車へと乗り込んだ。
「今年は絶対にクィディッチのチームに入ってやるわ!」
と意気込むチョウにケイティも「私もよ。」と宣言した。
どうやらレイブンクローもグリフィンドールも主力な多くの選手が去年で卒業してしまったらしく、選手になるチャンスよ。と2人は燃えていた。
学校に着くと、なまえ達は大広間へと向かった。
去年と違う事は、去年が迎えられる立場だとすれば、今年は迎える立場だと言うことだ。
真っ先に席についてドヤ顔で胸の監督生バッジをレイブンクロー生に見せびらかしているペネロピーを呆れた目で見つめ、なまえは席に着くと後ろからポンポン、と肩を叩かれ後ろを振り返ると去年よりますます背が伸びていたフレッドとジョージがいた。
「やあなまえ」「久しぶり。」
「久しぶりね、2人とも。」
詳しく夏休みの話をしてくれた2人は去年卒業したチャーリーがルーマニアでドラゴンの研究家になった事や、自分達の兄である、パーシーがグリフィンドールの監督生になった事、今年は弟がホグワーツに入学することを話してくれた。
「ちょっと待って、ウィーズリー家は何人兄弟なの?」
「うーんと、俺とフレッド」「チャーリーにパーシー」
「弟のロンに、長男のビル」「後は一番下に妹のジニー。」
「「七人兄弟さ!!」」
片手では数え切れない兄弟の数になまえは驚愕した。
なまえ自身、一人っ子のため兄弟と言うものがよくわからずにいた。
とりあえずなまえはウィーズリー家の兄弟の全員が揃ったところを見てみたいとまで思った。
そして切実に自分にも兄弟が欲しいと思ったなまえは思わず去年に双子の兄であるチャーリーに言われたことを思い出し、顔を赤くした。
「チャーリーが兄だったらなあ。」
「なまえがフレッドかジョージと結婚したら、そうなるな。」
なまえは素早く双子から顔をそらすと机に顔を伏せた。
少しの恥ずかしさと共に、今年からチャーリーはいないのだと言う寂しさが込み上げてきたのは確かだった。
しばらくすると去年同様、マクゴナガルが一年生を引き連れて大広間へと入ってきた。
もちろんハリーの姿や、ダイアゴン横丁で出会ったドラコ・マルフォイの姿もそこにはあった。
さて、レイブンクローは今年はどのような生徒を獲得するのだろうか。
レイブンクロー一同はもうなまえの様な生徒は御免だ、と心の中で大きく願った。
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