夏休みの用事





色々あったホグワーツでの1年目も無事に終わり、夏休みに入ろうとしていた。
ちなみに学期末のなまえの成績はとても勉強してい無いとは思えない程、いい成績だった。
そんなことはさて置き、夏休みももう終わる頃に、なまえは父とある場所へ向かった。

「....この家が、何?」
「いるんだ、この家の中に、彼が。」
「父さん、彼って誰?」

キースはなまえを見て不敵に笑うとこう呟いた。
「ハリー・ポッター。」

「ハリー・ポッターですって?あの、有名な....?」
「そう。ハリーのご両親とは親友だった。ハリーはなまえの1歳年下の男の子だ。しかし、彼は両親を失い、意地の悪いマグルの親戚の家に届けられた。」

ハリー・ポッターの両親と父とが親友だったなんて、なまえは初耳だった。
なまえは続けて話す父の会話に耳を寄せた。

「それでハリーは今年、ホグワーツに入学する予定なのだが....。」
「予定....?」
「ああ、彼は意地の悪い親戚に手紙を受け取らせて貰えないらしい。」

確かに、耳をすませると家の中からは「今日は日曜日だから手紙は届かない」と大きな声が聞こえた。

キースは肩をすくめると、指をパチンと鳴らした。
すると、家の周りには大勢のフクロウ達がそれぞれ手紙を持ってやって来た。
なまえが窓を見つめていると、同じように家の中からこちらをのぞき込んでいるメガネの少年と目が合ったような気がした。


「さあ、今日は他にも行くところがあるんだ。」

そう言ってキースはなまえの手を掴むとどこかに姿くらましをした。

着いた先はダイアゴン横丁だった。
なまえは父の後を追い寂れた喫茶店に入って父と共に待ち人を待った。
店に入って早々、キースはコーヒーを3杯注文する。「待ってる人が来てからじゃないと冷めてしまうわ」となまえが指摘すると、キースは笑って心配無用、もう来るよ。と言った。
父の言った通り待ち人はコーヒーが机に運ばれるよりも先に現れた。のだが。

「げ。」

問題は肝心の待ち人が、なまえの知っている人で、なまえが嫌っている人物であったことにある。

「おいおいスニベルス、遅いぞ。」
「その名で呼ぶな、キース。」
「ス、スネイプ....?」

父の待ち人はホグワーツの魔法薬学の先生であり、スリザリン贔屓が酷いセブルス・スネイプだった。
意外な人物過ぎて開いた口が塞がらないなまえにキースは「こら、先生だろう。」と言った。

スネイプが席についた直後にコーヒーは運ばれてきた。

「セブルス、分かっているな。今年はあの子が入学してくる。」
「ハリー・ポッター....。」
「そう。リリーの子だ。」
「分かっている。言われなくても。」
「俺はハリーの側にはいてあげられない。だからセブルス、頼んだぞ。」

キースはスネイプの目を見据えてそう告げると、スネイプは席から立ち上がりそれだけか、と呟いて店から出ていった。
コーヒーには手を付けないままだった。
なまえは父の向かいの席に座り直し訊ねた。

「父さん。一体どういう事なの?」
「ああ、私やハリーの両親とスネイプはホグワーツで同期だったのさ。」
「仲が良かったの?」

と訪ねるとキースはくすっと笑って「さっきの様子を見ただろう」と笑った。

「私やジェームズ....ハリーの父親はセブルスと対立していたのさ。」
「彼はスリザリンだものね。」
「しかし、リリーは違った。リリー....ハリーの母親はグリフィンドールだったが、セブルスと
とても仲が良かった。2人は幼なじみだった。」
「以外だわ。スネイプが女の人と仲が良かっただなんて。」
「そう。彼女以外は寄せ付けなかった。しかし、ある事件を切っ掛けに二人の中は引き裂かれた。」
「ある....事件?」

となまえが聞くとキースはああ、これ以上は詳しくは言えない、と苦笑いした。

「大切な幼なじみの息子を、ハリーを守ると彼は誓った。だから今日はその意思確認に来たのさ。あの様子じゃ、聞くまでもなかったがね。」
「私も手伝うわ。」
「ああ、頼んだぞなまえ。ハリーを守ってやってくれ。」



なまえはこれから合うであろう男の子に小さな誓を立てた。








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