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押して押されて口付けて




再びクリアになった視界に最初に飛び込んできたのは不服そうな彼女の顔。
「何をむくれている」
「…何か、いっつもあたしからじゃない?」
何が、という質問をこの状況でする程鈍感ではないし、する勇気もない。そんなことないだろう、と曖昧な返事を返せば益々機嫌を損ねることは目に見えていた。仕方ない。
「何処にして欲しいんだ」
そう問うと先程までの不機嫌は何処へやら、ほんのり頬を染めてそわそわし始めた。えっと、やらその、やら言葉とも言えない言葉を零しながら目線を泳がせているブルーを見て何だか可笑しくなった。普段自分からがんがん押してくるくせに、いざこっちが押してやると急にその勢いがなくなるのが彼女の恋愛においての特徴であることは、恐らく自分と自分の姉くらいしか知らないのではないか。
こちらの機嫌も少々良くなったところで、じゃあほっぺた、なんて中途半端な要求を呟く唇を塞いでやることにした。




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