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グリブル




可愛いですね。その言葉にブルーさんは数回瞬きをした後あぁコレ、と褒められた対象を弄った。艶々とした亜麻色のロングヘアーを綺麗に纏め上げているバレッタ。控えめな装飾の施されたそれは、正直ブルーさんらしくないと思った。それに彼女は基本的に髪を上げることを嫌う。首筋を晒したくないのだとか言っていた気がするが。
お土産で貰ったから、と仕方なく着けているといった風に答える彼女の表情は言葉と裏腹に酷く嬉しそうに見えて訳が判らない。
お茶淹れ直してくるわね、と出ていこうとする彼女のバレッタの装飾はどうやら縮緬細工で出来ているようで、そういえばあの人がこの前会議でジョウトに行っていたなぁとぼんやり思い出した。つまり彼女のあの態度は単なる照れ隠しなのである。あの普段散々周りを振り回している彼女にもそんな可愛らしい一面があったのだ。それに気づいてからはどうにも笑みが零れるのを我慢できなくて、戻ってきたブルーさんに何がそんなに嬉しいの?と尋ねられてしまった。




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