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「やっとついたー」

「腰大丈夫?」

「あ、うん。今回は割と平気」

「昨年は腰痛いって言ってたのにね?体力ついたんじゃない?体も引き締まってるっぽいし?ね?なんで?なんで体力ついたの?ね?腰強くなったの?ね?なんで?」

「うるさい!知らん!」

確実、智希とのセックスのおかげである。


ついてまず駅の近くにあるレンタカー屋へ行き車を借りると、その足で旅館へ向かった。

最寄り駅から旅館までは車で30分ほどだが、それまでにコンビニやスーパーが少ないため見つけたらすぐコンビニへ入り飲み物と少しのお菓子を買わなければ食いっぱぐれてしまう。


コンビニを見つけ駐車場に入ると、嬉々として車から降り財布を持ち中へ進む。


もはや遠足だ。
主に有志が、だが。


「あ、新味出てるぞ智希!」

「あーそれこの前学校で食べた。うまかったよ」

「………」

「拗ねるなよ。俺が買ったんじゃなくて友達が買ったのくれたの」

「拗ねてません」


再び車に乗り込み旅館へ向かう。

智希としては密室の車の中でいちゃつきたいのだが、運転中ちょっかいを出すと本気で怒られるので何もできない。

しかしもうそろそろ本当に、触りたくてうずうずしているのだ。


誰も通っていない交差点の信号で止まっていると、有志が楽しそうにまだ色のついていない山を見ていた。

「紅葉の季節も来てみたいね。来年は智希の運転かな」

今年18歳になる智希は車の免許を取ると決めていた。

来年も智希と二人でここに来られる事を夢見ながらきょろきょろしていると、突然魔の手が左手に降りてきた。

「ちょっ!」

「まだ赤じゃん」

「アクセル踏んじゃうだろ!」

シフトレバーに置いていた有志の手の甲を撫でると、体全身を使って驚き一瞬飛び跳ねた。

「ね、ついたらさ、ちょっとはさ、いちゃついてもいいよね?」

「い、いちゃ、ちゃ、いちゃ、」

「青だよー」

「あぁー……」

脂汗を滲ませながら先ほどより目をかっぴらき運転している。

正直今、警官が通ったら薬物やってるんじゃないか?と思われるほど挙動不審だ。


「プクク…」

「か、 からかうなっていつも言ってるだろ!」

「からかってないよ。いちゃいちゃしたいのはほんとー」

可愛く語尾を上げながら言う智希。

有志は唇をきゅっと結び、安全で対向車の滅多に来ない真っ直ぐの道を運転初心者のように体を強ばらせながら進んでいった。






「長旅お疲れ様でした。晩ご飯は何時からにされますか」

「あ、これから墓参りだけなんで、17時か、18時ぐらいからでもいいですか?」

「では17時にご用意しておりますので。お風呂も、いつでも入れますのでね」

「ありがとうございます」

手続きを済ませ少し腰の曲がった女将に案内されると、荷物を置いて一息ついた。
部屋は3室しかないのだが、昨年泊まった時同様、今回もどうやら客は有志達だけらしい。

決して立地条件は良くないのだが、部屋は3室全て2部屋有り2部屋とも10畳を超えてとても広い。

部屋の窓を開けると一面緑に包まれた壮大な森で、冬になると人懐こい雪うさぎや鹿がたまに庭先に降りてくるらしい。
窓の外から都会では絶対に嗅ぐことのできない田舎独特の懐かしい匂いが染みこんできて、深く、深く、深呼吸をするだけで体の奥底から洗われる気がした。

部屋に露天風呂はないのだが、竹林のアーチを抜けた離れにひっそりと佇む広大な露天風呂があり、メンテナンスがある朝の5時から6時以外はいつでも入れる。(ぶっちゃけこの時間でも入りたいと言えば入らせてくれそうだが。)

料理に至っては目の前が山、車で10分ほどで漁港があるため山の幸と海の幸がふんだんに使われ宿泊値段と合わない豪華料理が並ぶ。

昨年は豪華料理の後にスイカ4分の1と、桃が2つ、何故か夜10時頃に智希がトイレに行くと素麺を頂いて帰ってきた。

滅多に人が来ない上に周りは年寄りばかりのため、智希ぐらいの若い子が来ると嬉しいらしく、顔をあわせるたびに何か分けてくれるのだ。

旅館をチェックアウトする際スイカ一玉をお土産に持たされた時は流石に断ったが、分厚い手でまた来てくださいと目尻を下げる女将になんだか涙が出そうになった。

老夫婦たった二人で運営している小さな旅館だが、有志と智希はとても気に入り毎年ここに来ると決めたのだった。


「相変わらずステキな旅館ですね。今年もここに来るのずっと楽しみにしていたんです」

「ありがとうございます。人も来んから、静かでええでしょ」


ひ、人も来ないから…


「………」

「じ、じゃあ、僕たちは墓参りの準備しますんで」

「はい。鍵を預ける時はフロントのベル鳴らしてくださいね。最近耳が遠くてホホホ。それではなにかあればなんなりと」





「…………人が来ないって聞いて、やらしい事想像した?」

「ばっ!!」

女将が去ってすぐ、耳元で智希が囁く。

有志は当てられたのか顔を真っ赤にして智希を睨むが、簡単に流され部屋の奥へ連れて行かれる。

「と、智…女将さん…来るかも」

「前の時は全然来なかったじゃん。それに奥で扉から見えないし、鍵もかけたじゃん」

「で、でも」

「ね。ちょっとだけ。お願い」

重たい荷物をやっと降ろせたというのに、重みが恋しくなる。

ぎゅっと有志を抱きしめ頭上から甘い声を出した。長旅で少しは疲れているのだろうか、いつもより少し力が弱い気がした。


お願いされて断れない有志は唸りながら智希の胸に顔を埋め呼吸を整える。

「す、少しだけ……な」

「うん」


ストン、と有志の鞄が畳の上に落ちる。
静かな部屋はその音があまりに大きく聞こえて、思わずビクリと体を震わせた。

「父さん…」

「んっ智…」

有志の肩を掴んで優しくキスを落とす。
受け入れた有志はまるで何日もキスをしていなかったような錯覚に合い、いつもより激しく受け止める。

「おっ…と…」

「はっ…智……」

仕掛けた智希が少し躊躇するほど、有志の舌が強引に迫ってくる。

「智…舌……出して」

「ん…」

口を開け舌を大きく出すと、待ってましたといわんばかりに有志が吸い付く。

ちゅう、ちゅ、ちゅう、と子猫が母猫の乳を吸うように、出しっぱなしの智希の舌を何度も吸い付き唾液を飲み込む。
自分の舌先を智希の舌先に押し付け厭らしく絡めると、背伸びをして歯列をなぞり深く口内を食べるように激しく吸い付いた。

「智っ…とも…」

「んっ…父さん…父さんもっ…んっ…そんな俺とキスしたかったの?」

「ん……うん……智…希と……いっぱいキスしたっ…んっ」

からかう様に笑いながら言ったというのに、有志は簡単に肯定しさらに食いついた。


引っ込んでいた智希の舌を甘噛みで引き出し、何度も何度も吸い付く。


「智ぉ…」

トロンと目を潤ませ高揚する有志を見て、智希は最近の出来事を思い出していた。


父さん…






母さんの墓参り日が近づくにつれ、父さんは性欲が増しているようだった。

元々セックスをする時は俺が誘い、父さんは照れながら流されてくれる。

セックスをしている時も、俺がリードしてあまり自分から動かない。
動こうとしてるんだけど、たぶんどうしたらいいかわからず俺に流されてるんだと思う。

あと、積極的に動くのが恥ずかしいのだろう。

しかしこの一ヶ月ほど、セックス解放日以外の日でも数回誘われた。
次の日が仕事のため挿入はなかったけど、俺のを積極的に舐めてくれて、ひたすら上に乗ってキスをせがんだ。


セックス開放日にいたっては、何度も中出しを懇願された。



『智っ…おねがっ……中に……中に出してっ』



最初はゴムを付けていても、途中から箱ごと奪われ生を強要する。


先週生でしたし、何度も生ですると中が傷つくからって言っても懇願をやめなかった。



『中に…中に全部出してっ…』



最初は父さんもエロくなってくれて嬉しい、なんて軽く考えていたけれど、まるでセックスの時だけ人が変わったようになるから少し気になっていた。


今の状況だって、いつもの父さんなら家じゃないからと言って軽く済ませようとするだろうに、誘った俺以上にスイッチが入ってしまっている。

しかもここは、母さんの眠る土地だ。


近くに母さんがいる。


何かの反動だろうか。

実の息子と関係を持ってしまった自分への罪と罰が膨れ上がり、俺の知らない所で父さんは壊れ始めているのではないだろうか。



不安な思いが頭をよぎる。



「っ………」



目をぎゅっと閉じ、大丈夫、大丈夫。父さんはこんなことで壊れない。と、自分で自分に言い聞かせる。





「はっ…智…もっと…もっと智…」

「ん……」

「あっ」


有志の舌を受け止め今度は智希が激しく暴れる。

小さくて智希の手にすっぽりおさまる尻を強く掴みやらしくこねると、腰を震わせ息を飲んだ。

「あっ…ダメッ…それはっ」

「キスだけ?」

「だっ…下着…汚れるっ」

「じゃあ、脱ごっか」

カチャカチャと音を立てて有志のベルトを外そうとすると、智希の背中に回していた手を今度は胸に置き力弱く反抗する。

「あっ…墓参り…行かないと…」

「すぐ終わるよ。舐めてあげる」

「なっ…あっ!」


智希は畳に膝をつけると、震える有志の腰を支えながら器用にチャックを降ろし下着の中からペニスを取り出した。


「半勃ちじゃん」

「うぅ…」

「そのまま立ってて」

「む、無理っ」

有志の尻を掴みながら顔を固定し、口を大きく開けて有志を咥える。

「んっーーっ!」

大きな声を出してはならないと、両手を口で塞ぎ目をとじる。
目からは生理的な涙が流れ顔を真っ赤にして倒れそうになった。

「おっと…」

崩れる一歩手前で抱きとめると、数歩先の壁に押し付ける。

「ちょっ…ほんとに…んっ」

「もっと足開いて」

「やっ」

壁に背中を預けた有志は訴えようと跪く智希を見下ろすのだが、力が入らず口を抑えるので精一杯だ。
無理矢理大きく股を開けさせると、震える有志のペニスを再び咥え込んだ。

「んんーっ!!」

ガクガクと足腰が震え、壁に当たる背中が熱くて汗が滲んできた。
智希は何度も頭を動かし有志のペニスを出し入れすると、力が無くなってきた有志の体を支えつつ自身のペニスも下着から取り出す。

おーガッチガチ。

自分の状態に笑いながら軽く片手て包み込みぬるく擦り始める。

「んっんっあっ…智っ…だめっ…もうだめっ…だ…イくっ…イっちゃ…あっ」

「出していいよ」

「ダメっ……あっ」

膨れ上がった有志のペニスを何度も吸い付き喉奥に当てると、有志の足先が震えその瞬間を迎えた。

「んっ…ふっ…んっ…んんーーっ!」

智希の口に腰を2〜3回押し付けると、痙攣しながら喉奥に濃厚な液を吐き出した。

「んっ…ゴクン、ゴクン」

「はっ…はぁっ…は…」

濃厚過ぎるため喉奥に違和感を感じる。
智希は必死に唾液を加え何度も喉を鳴らし胃の中へ運んだ。

有志は壁をつたいズズっと音を立てて畳に座り込むと、まだ虚ろな目の中智希の下半身が目に入った。

「智の……父さんがしてあげる…」

「いいよ、今のおかずに1人で抜くし」

「…1人で…とか…ダメだ」

ズボンから飛び出した息子のペニスを捉え、自分のモノを下着に収めることもせず這いつくばって智希の元へ向かう。

たどり着くとすぐに智希の股間へ頭を埋め天を仰ぐペニスを咥えると、極上の食材を頬張るように喉奥まで吸い付いた。

「くっ…」

「んっんっ」

喉を鳴らしながら何度も吸い付いて、快感で顔が歪む智希を無視して味わう。

「父さん…」

「んっ…とも…ひ…」

先端を何度も吸い付き、溢れ出る液をすくっては舐め舌先で刺激する。
独特の味がする先走り液を美味しそうに飲み込んでは唇を側面にはわして時折甘噛する。


「っ……美味しい?」

「んっ…うん………おいひ」

無意識のうちに動いていた有志の腰がどんどん大きくなり、畳に擦れ音が大きくなってきた。

やばいな…このままだと父さんの膝が傷いくかも。

「……ごめんね」

「ん?…んんっ!!」

有志の頭を掴み強引に喉奥へ押し込みラストスパートをかける。

「んっんっんっ」

「父さん…父さん………っ……出るっ…出すよ」

「んっんっ」

涙目で智希を見上げると、その表情を見て一気に智希の欲望が加速した。

「っ……くっ……」

「んんーっ」

一度だけ大きく智希が腰を打ち付けると、待っていた白濁の液が有志の喉に到達し美味しそうに飲み込んでいく。

若く元気なタンパク質は、ゆっくりと味わいながら有志の喉から胃へと流れていった。


「っ……はぁ…はぁ……父さん大丈夫?膝…痛くない?」

「んっ…」

目を閉じ口を押さえて、愛おしい息子の愛おしい精液をずっと味わっている。


すぐ、無くなってしまう。


口内から消えていく精液を残念に思いながら目を開けると、薄っすら汗をかき肩を揺らしている智希がいた。


ダメだ…また…キてしまう。


「じゃ、じゃあ用意して行こうか」

「そうだね、父さん補充できたし」


俺は…まだ……


「ん?」

「んーん。じゃあ着替えよっか」

「そだね」


芯が熱いままの有志は、まだ少し震える足に力を込め立ち上がった。

「父さん出てるよ」

「ん?うわっ!」


まだ下着に収めていなかった自分のペニスを見て、もう一度地面に座り込んだ。




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