19


我慢できず智希を押し倒しむさぼるように唇を奪い吸い付く。
ソファに倒れ宙を舞う自分より長い足を掴みその中に割って入る。

「っ…父さん」

積極的な有志に押され気味だったが、自分を覆うその背中に手を回しきつく抱きしめ舌をさらに奥へ潜り込ませる。
熱くなる息と体。無意識に押しつけ合う下半身が芯を捉え妖しく腰を動かし続ける。

溢れ出る唾液を簡単に飲み込み何度も角度を変え交差する智希の舌。
智希からのボディソープの匂いが鼻の奥を通り、有志の脳がさらに麻痺する手助けをする。
良い匂い。自分と同じ、安心する匂い。

智希の手が伸びスルスルと器用に有志の服の中に入っていくと、30を過ぎても潤いのある背中を優しく撫で回す。
このくすぐったい動きに慣れなくて、何度も体を重ねたというのに未だ身を縮こまらせ小さく抵抗する。

「父さんって背中弱いよね」

「う、るさい」

耳元で低く甘い声が聞こえる。
それだけで有志の下半身は盛り上がり布越しに切なく訴えた。

背中に伸びていた手は徐々に移動し前にたどり着くと、ピンと尖った胸の突起を見つけ両手で摘みきつく刺激する。

「ぅぅ…」

腰をくねらせ喉の奥で声を出す有志。歪むその顔を下から見上げ何度も下半身を擦りつける。

智希はしたい、とは言ったものの、つい最近まで自分の暴走の所為で恋人を悲しませてしまったため少しトラウマになっている。

このまま進んだらまた調子に乗ってしまうんじゃないだろうか。
今日はまだ平日だ。明日も学校と仕事がある。最後までできない。
やっぱどうしても我慢できなくなったらどうしよう。

また、父さんに嫌われてしまう。

「と、さん……ごめん、俺情けないけどやっぱ…我慢できそうにないから…」

「えっ…」

リズム良く動いていた有志の腰が止まり、ほんのり汗をかきトロンとした目で智希を見下ろす。

脳まで沸騰していたのではないだろうか。
智希の言葉を聞いて言葉を飲み、理解したのだろう今度は顔を真っ赤にして目を見開いた。


お、俺何してんだ…!明日はお互い学校も仕事もあるのに…俺の方が我慢できてないじゃないか…!


あれだけ智希に暴走するなと言っていた自分が、今度は息子に静止させられた。あまりの恥ずかしさに血の気が引き顔を手で隠してソファの下に崩れ落ちる。

「え、大丈夫?」

ペタンと床に座り言葉を失う有志。
智希はそれを見て勢いよく起き上がり何事かと顔をのぞき込んだ。

「ご、めん……俺の方が…父親なのに……我慢できなかった」

絞り出すように聞こえてくる声があまりにも愛おしくて、智希も床に座り込み後ろから有志を抱きしめた。

「ううん、嬉しい。めっちゃ嬉しい」

ぎゅう、っときつく抱きしめ有志の首元に顔を埋める。

「……俺たち、やっぱ親子だね。すっげー似てる」

「………めんどくさいところが?」

「そうそう」

ケラケラと笑う声がすぐそこから聞こえて、段々落ち着いてきたのだろう 、有志も笑いながら自分の前で交差する智希の腕にしがみついた。

「昔はさ、あんま父さんと似てるって言われるの好きじゃなかったんだ」

「なよっとしてるから?」

「違うって」

少しむっと顔を歪ませ不機嫌になる。
固くなった有志の体をほぐすように揺れながら何度も抱きしめ首筋にキスを落とすと、ふぅ、と溜め息をついて目を閉じた。

「父さんへの気持ちが…ただの家族愛じゃないってわかってから…何度も父さんと親子じゃなかったら、好きって言えたのになーって思ってた。同性っていう壁はあるけど、それでも確率はまだあるじゃん?告白してもそんな問題ないじゃん?でもさ、親子は、さ…血が繋がってたらさ……好きってのも、言っちゃダメだろ。こんな近くにいるのに」

一瞬、智希が震えたように感じた。
辛かった時の事を思い出しているのだろうか。

好きだと気づいてしまった瞬間、一生出ることのできない迷路に入れられたような感覚。
自分から入ってしまった迷路。
一生出られないことを覚悟していた。

その想いを感じとったのか、有志も少し震え智希の腕をさらにきつく抱きしめた。

「でも今はすげー…似てることが嬉しい。顔も、声も、性格も全部似てることが本当に嬉しい。俺にしかない特権…父さんの子なんだって思ったら今まで辛かったこと全部吹き飛ぶ」

まだまだ文章力に欠ける子供じみた言葉は、精一杯を生きて、精一杯愛しているのだと強く感じる。


世間体や相手の事を思って、と言いながらも自分を守ろうとしていた。自分が傷つくことを恐れていた。
息子はこんなに真っ直ぐに向かってくれていたのに…。

「智希……ごめんな…」

「謝らないで。お願い」

二人が一つになってしまうのではないかと思うぐらいきつく抱きしめ、肺が押しつぶされているのに全く苦しくない。
むしろもっと、と肌が肌を求める。


「………智…勃ってる」

ふと、自分の背中にあたる息子のムスコがさっきよりさらに成長していることに気づいた。
実は有志もかなり股間が痛いほどに膨れあがっているのだが、お互い我慢しようと決めた手前言い出せなかった。

「そ、りゃ勃つだろ。あんなエロいキスして、こんなに父さんのこと抱きしめてたら」

「やっぱヤろ…」

言葉の途中で有志の口を手で塞ぎ落ち着けと自分に言い聞かせる智希。
有志は口元の手を掴んで見上げると、ふぅ、ふぅ、と呼吸を荒げている息子が目に映った。



あ、我慢してる。可愛いなぁ。



言ったら怒られるので言わない。そもそも口を閉じられているので言えないのだが。

「父さんも勃ってんじゃん…口で…してあげる」

「え、いいよ俺は。風呂入ってないし」

「いまさら」

何言ってんの、とバカにしたような笑いで有志をのぞき込むと、赤くなるその頬に小さく音を立ててキスをした。

有志の脇を掴み子供のように持ち上げると、ソファに座らせズボンとゴムを弾いて中から取り出す。

「あっ、まっ…」

「じゃあ舐めるよ………ん?」

「……えっ?」

口を大きく開け震える有志のペニスを咥えようとした瞬間、スン、と鼻を鳴らし 智希の動きが止まった。
風呂に入っていない自分を恥じてかぁ、と顔を真っ赤にした有志だが、どうやら止まった理由は違うらしい。

「なんか、精液の匂いがする」

「えっ」

「そんな垂れてないのになんか…もしかして父さんさっき一人でシた?」

「…………っ!!」

本気で忘れていた。
智希の汗の匂いを嗅いで欲情してしまった有志は、智希が風呂に入っている間一人こっそり自分の部屋で自慰をしてしまった。
ティッシュで拭き取り手も洗ったが、あの独特の匂いは簡単に落ちなかったようで、智希が顔を近づけた瞬間見破られてしまった。

「え、いつ?俺が帰ってくる前?」

「ちがっ…智…が風呂入ってるとき…」

「え、あん時?!」

あんな短時間で?!
驚きながらも嬉しそうな智希は、恥ずかしくて顔を手で覆う有志の腕を掴み無理矢理引きはがした。
下からは真っ赤になった顔が現れ、目を合わせずずっと泳いでいる。

「に、おい…が…智希の匂いが……汗に混ざって…俺と同じ洗剤の匂いが……凄く…興奮して」

「父さんって匂いフェチなの?」

「……て、言うか……」

「?」

どんどん赤くなる顔を見ていると次第に可哀相になってきた。
パンクしてしまうのではないかと思うぐらいまだ、赤くなっていく。

「匂いフェチって言うか…………智希フェチ?」

「ぐっ……」

ゴーン、と智希の頭の中で鐘が鳴る。あまりにも強い衝撃だ。息ができない。

有志自身も自分で言っておいて恥ずかしさのあまり目眩がした。こちらも、息ができない。

耐えろ、俺、耐えろ…!
ここで耐えたらきっと未来は明るい…!

自分に言い聞かせ無言のまま有志のズボンと下着を一気にはぎ取ると、今度こそペニスを奥まで咥えこんだ。

「あぁっ!」

あまりにも流れのいい早い動きについていけず、気がつけば吸われていたので簡単にイってしまいそうだった。
智希の髪の毛をぎゅっと掴み射精感を我慢すると、下半身に力を込め弱々しく言葉を放った。

「と、も……俺も……智希の舐める…」

「……じゃあ、ちょっと腰浮かせて」

簡単に有志の腰を掴み持ち上げ回転させると、自分は寝ころびその上に有志を重ねた。

「と、智希くん……これはちょっと」

「時間短縮になるしいいでしょ」

目の前にある智希のペニスと会話するようなこの格好は、冷静さを取り戻した有志に取って不可解そのものだ。

「弄りやすいしねー」

「あっ…ちょっ…あぁっ!!」

有志の尻を掴みいやらしく揉みながら顔を近づけると、双丘を割って震える入り口に舌をねじ込んだ。

無意識のうちに尻を上げ誘うように崩れ落ちる。
体格差もある為智希のペニスにしがみつきながら喉を鳴らし熱気の籠もった吐息が溢れ出てきた。
指は入れず舌だけで激しく中をほぐされ、上から下まで蕩けてしまいそうだ。

智の舐めないと…

脳まで溶けてしまいそうだ。
下半身に力を込めて智希のペニスを掴み、一気に奥まで押し込める。

大きくなった智希のペニスは嬉しそうに有志の口の中に包まれた。
それだけで暴発してしまいそうだったが、有志への愛撫に集中しなんとか難を逃れる。

「こっちは…?こっちは弄ってないの?」

「っ…はぁ…な、ない」

ヒクヒクと動くアナルを弄ぶように人差し指で撫で、唾液をつけては中に潜り込ませる。
すっかり快感を覚えてしまった下の口はまだかまだかと智希を急かしているようだった。

「可愛い」

ボソっと呟くと、指を二本に増やし一気に付け根まで押し込んだ。

「あぁあぁっあぁっ」

逆流してくる異物が背筋を通って押し寄せてくる。
快感の波と共に有志の手が止まり口からペニスを離した。

ピン、と尻を突き出し長くて太い指がいつもの所を攻めてくる。

智の…智の指が俺の中に入ってる…

それだけで達してしまいそうだ。
しかし父親も簡単に達してしまわないよう、智希への愛撫に集中しなんとか難を逃れる。

智希は二本指の間接を曲げたりバラバラに動かして中を攻めると、さっき一度出しているからかいつもより先走りの少ないペニスを掴みゆっくり擦り始めた。

「あっあっ!」

擦るリズムに合わせて有志の腰も小さく反らしながら動いている。
それが可愛くて、ついつい激しくしてしまう。

「あっダメダメっ…智希…!そんな強く擦らなっ…あぁっ!」

ピクピクと活きの良い魚…と言ったら怒られるだろうか。
しかし今の有志はまさしくそれに近い。

何度も腰をいやらしく振りながら大きく喘ぐ有志だが、自分も負けまいと智希のペニスを何度も喉奥に押しつける。
生理的な涙が溢れ顔はぐちゃぐちゃなのだが、その顔を見られていないことにひどく安堵した。
しかしもっと恥ずかしい部分を見られているのだが。

「くっ…父さ……気持ちっ……いいよ…」

「んんっ…んっんっ」

リズムよく顔を上下して必死に絡めると、智希のペニスが大きく震え大きさも最大になってきた。

そろそろだ、と直感で思った。

「くっ…父さ…で、出る……」

「んんっ……いいよ……出しなさい」

すぐ口を戻して再び愛撫を続ける。

「ん……父さんも、………ね」

「んんっ!」

前立腺と呼ばれるいわゆるイイトコロを慣れた手つきで増えた指3本で強く刺激する。
すると有志の腰が飛び跳ねこちらももう限界だと直感で思った。

「っ……出す……口に……口に出すよ」

「んんっ…んっんっ……んっー」

自らも腰を動かし有志の喉奥を堪能すると、目の前が真っ白になった瞬間溜まった精液をさらに奥へ進むかのように注ぎ込んだ。

「んっーんんっーー!!」

喉奥に入ってきた息子の精液を味わいながら智希の出した若くて元気な精子だと思う。
するとキュウっと下半身に力が入りアナルを犯す智希の指を締め付け自分も射精した。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

お互い荒い息をしながら智希は有志の喉奥に、有志は智希の腹の上に精液をぶちまけた。

智希は少し放心状態になりながら手をブランと床に預け、目を閉じ息を整える。

有志は智希のペニスを口から離すと、天井を見上げるように顔を上げ存分に喉を通り味わいながら精液を飲み込んだ。
しかし溢れてしまった精液が口端から少しこぼれ、頬に伝う。

あぁ、勿体ない。
智希のものは全て味わいたい。

まだ少し震える手で零れた精液をすくい口元にすりつけ最後の一滴までも飲み込んだ。


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