ゼリーヌは両思い
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※仁王短編の丸井視点(ほぼ会話文)



「あの二人、上手くいくかな?」
「…幸村くん、知ってたのかよぃ」

勿論。と笑う幸村くんを見て、ぜってー隠し事はできないと思った。つうか仁王に至ってはバレバレだっつーの。気付いてねーの、本人くらいだろぃ。本当は抱き付かれて嬉しかったくせに、照れ隠しで引き剥がすなんてありえねー。えっ俺?そのまま抱き締めてやるに決まってんだろぃ。

「それにしてもあの二人、遅くない?俺を待たせるなんて良い度胸してるね。」
「ちょ、幸村くん怖い」
「だって十分も経ってるのにまだとかおかしいと思わないかい?」
「あのセブイレ、歩いたら往復十分はかかるだろぃ」
「そこは走れよ」
「え」
「俺は今食べたいの!」

あいつらマジで何してんだよ。と呟きながら貧乏揺すりする幸村くん半端なく怖いんだけど。ちょ、真田の帽子にまち針刺しだしたとか何事?なにこれ、何かの儀式?頼むからあと一分以内に帰って来てくれ、三百円やるからよぃ!じゃなきゃ俺にとばっちりが、

「そろそろ十五分経つよね。丸井、今から走って俺のスイーツ迎えに行って来てよ」
「え、ちょ、幸村くん?」
「ふふ、いってらっしゃい」

まち針片手に満面の笑みの幸村くんに「無理です」なんて言う勇気が俺には無かった。無かったから校門まで走った時見慣れた銀髪が視界に入ってきた。俺ツイてる!よっしゃこれでコンビニまで走らなくていい!なんか幸村くんに勝った気分だぜぃ!

「あれ、丸井息切らして何してんの?」
「バッカ、お前ら(が買って来た幸村くんのスイーツ)を迎えに来たんだよぃ」
「ブンちゃんかっこの中丸聞こえじゃ」
「いいから!幸村くん今にも爆発しそうなんだよ!真田の帽子にまち針刺しだすくらいお前らのこと待ってたんだからな!」
「なにそれ意味分かんない」

お前らは知らなくていーんだよぃ。顔をしかめる二人を置いて部室まで走れば、幸村くんが入り口で立って待っていた。神の子怖え。

「流石丸井!!少し見直したよ!!これでやっとティラミスが食べれる!!」

嬉しそうに俺からビニール袋をひったくるように受け取った幸村くんだったけど、袋の中を見て何とも言えない悲鳴をあげていた。

「幸村!!?大丈夫か?!」

幸村くんの悲鳴を聞き付けた真田が、自分の帽子を見て叫びだすまであと十秒。あーあ、俺知ーらね。

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