「仁王、わたし進路決めたよ。」

金槌で頭を殴られた気分じゃった。仲間だと思っとったティッシュが、進路を決めたなんて。

「嘘じゃ…」
「嘘じゃない、さっき担任にも進路希望出してきた」

K大学。俺でも知ってるくらい有名な私大、更に言えば柳生と同じ大学じゃ。「法学部、目指すつもりなの。」苦笑いしながら俺に告げるティッシュは、何処か精々した表情だった。



「仁王、進路希望をまだ出してないのはお前だけだぞ」

案の定、俺は放課後担任に呼び出された。紙飛行機にして飛ばした、なんて口が裂けても言えんから「明日出すからプリント欲しいんじゃけど」と言えば担任は目を丸くした。

「やけに素直になったな」
「……」
「ティッシュが進路希望調査を出したからか?」

ティッシュは本当に進路を決めたんか…。あいつなら難なくK大学法学部も受かるじゃろ。学年二位と俺の差なんて、歴然じゃった。

「のぉ、俺も進路希望調査にK大学って書いてもよか?」
「お前なあ。…柳生と離れたくないのは分かるが、現役では無理だぞ。四大に行きたいなら、無難にエスカレーターでこのまま上がれ。」

そか、と呟いてから職員室を出た。何気なく窓の外を見れば、柳生とティッシュが中庭で談笑していた。何でティッシュはK大学に行くんじゃ?何で柳生と同じ法学部を目指すんじゃ?二人を見れば、少しだけ心臓が痛かった。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -