進路、この言葉を聞くだけで憂鬱じゃ。だってまだ夏休み前じゃのに、半年先なんて分からんぜよ。 「お前まだ進路決まってねーのかよ!つか、クラスで決まってねーの仁王とティッシュだけじゃね?」 どや顔で言うブンちゃんにムカついた。ブンちゃんこそ、つい最近まで決ってなかったナリ。あんま変わらんじゃろ。でもティッシュだけが心の支えじゃ、ティッシュが進路決まったら…泣くぜよ。続くように赤也までもが「仁王先輩やばいっスよ!」とか言い出したから、余計ダルかった。 「赤也はええのぉ、まだ進路に悩む必要なんてないじゃろ」 「そんなことないっスよ!英語の偏差値上がんなくて困ってるんスよ!」 「……」 「卒業したらどうする気だよぃ」 「知らん、」 みんな進路の話しかせん、面白くなか。拗ねて進路希望調査の紙で紙飛行機を作り始めたら、ブンちゃんは「お前マジやべーぞ」と追い討ちをかけるようなことを言ってきた。だから、ヤバいのは知っちょるもん。 「三馬鹿が集まって、一体何の話だい?」 ガラリ、と屋上の扉を開けて入って来たのは幸村と真田じゃった。「あー、仁王の進路の話」とかブンちゃんが余計なこと言うから、幸村は嬉しそうに俺たちの方に歩いて来た。スキップする幸村なんて、レアすぎるじゃろ。 「仁王、まだ決まって無いんだ」 「…まぁの。」 「で、どうするの?」 「…ニートかフリーター」 「真面目に答えんか!!」 真田に喝を入れられたけど俺には無理じゃ。進路なんて分からんけぇ、考えたくもなか。その後散々真田に説教をくらった後、本気でビンタされた。あー、今日は最悪な一日ナリ。 |