進路希望調査。

再提出、とご丁寧に付箋まで貼られた紙を、わたしは余りよく見もしないで鞄にしまった。担任から渡された薄っぺらい紙切れに未来を印すなんて、やってられない。再提出の人は明日必ず出すように、と再度念を押されたけど、きっと私以外にも出さない人はいるだろう。

「ティッシュはもう進路決まっとるん?」

俺まだなんじゃけど。と苦笑いを浮かべる仁王に「再提出組でーす」と言えば、あいつは心なしか嬉しそうだった。

「ティッシュが決まっとったら泣くとこじゃったぜよ。このクラスで決まっとらんの、俺とティッシュだけナリ」
「は、嘘?丸井は?」

ブンちゃんは、専門。お菓子作るんじゃって。
まるで他人事のように口に出す仁王に唖然とした。最悪、本当に進路決まってないの、私と仁王だけなんだ。仁王は呑気に「何とかなるじゃろ」と笑っていた。



「お前は今からでも頑張れば、公立辺り目指せるだろう。」

放課後、図書室で柳にその話をすれば呆れた顔で返された。無理だよ、わたし頭悪いし。

「よく言う。学年二位なんて凄いことだぞ」
「…学年一位に言われたくない。それに私、」
「勉強嫌いだし。…と、お前は言う」

知ってるなら言わないでよ。と目線で訴えたが彼のことだ、気にもしていないに違いない。再び参考書に視線を落とす柳は、昔とは違い何処か大人びていた。

「真田と柳は国公立なんでしょ?」
「あぁ、…柳生は推薦で私大にするからな」
「へぇー」
「あいつは上位だからな、学費は半額でいいそうだ」

私大の学費が半額。上位に入れるなんて、やっぱり柳生はスゴい。彼が行く大学は、かなり名の通った私大だから、国公立にも劣らないくらいレベルが高い。

「ティッシュ、いい加減進路について真面目に考えろ」

担任みたいな口調の柳に、思わず嫌気が差した。わたしだって、真面目に考えてるもん。


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -