最悪の再会

一週間なんて早いものだ。気付けば今日は、いよいよ練習試合の日である。少しだけ家を早めに出て、学校近くのコンビニに寄った時、後ろから誰かに声をかけられた。

「久しぶりじゃのぉ」
「……え、?」

振り向けば見覚えのある顔の男が立っていた。珍しい銀髪、それは紛れもない仁王だった。昔と全然変わってない。それよりも、だ。まさか、仁王とこんなとこで会うなんて、

「何年ぶりじゃ、名前と会うのは」

懐かしいの、と仁王は言うが私は信じられなかった。確か、彼は外国に行ったはず、なのに。もう日本には戻って来ないって、

「名前には言うてなかったがの、俺」
「仁王!お前遅過ぎだろぃ。何分掛かって…る、は?こいつ誰?」

仁王の言葉を遮るように割り込んで来た赤髪は、私の顔をまじまじと見た後「あ…」と呟いた。私と仁王を交互に見る赤髪を不思議に思ったが、とてもじゃないが口を挟める雰囲気ではなかった。

「お前、知り合いだったのかよぃ」
「…内緒ナリ」

仁王は何も言わず、そのまま赤髪と何処かへ行ってしまった。突然現れ立ち去った仁王に、私は呆然とその場に立ち尽くしたままだったが、携帯の着信でふと我に返った。ディスプレイを見れば跡部からだった。

「今どこだ」
「へ?あ…コンビニ、だけど」

相手校が来ている、とだけ告げた彼の雰囲気で急かしていることは何となく分かった。コンビニで昼食と、おやつ用に杏仁豆腐を買い直ぐに学校まで向かった。校門をくぐった時、少しだけ嫌な予感がした。胸の辺りがざわめくというか、第六感が働いたというか。急いでテニスコートまで行こうと一歩踏み出せば、背の高い黄色のジャージを着た男が立っていた。

「久しぶりだな、名前」
「っ、れん…じ?」

誰か、なんて一瞬で分かった。それは紛れもない、私の初恋相手の蓮二だった。数年経ったが、面影はやはり残っている。蓮二も、私を懐かしい眼差しでジッと見つめていた。

「まさか、こうして再会するとはな」
「なん、で」
「今日の練習試合は、立海とだ」

優雅に歩いて来る跡部は、まるで私と彼が知り合いだと言う事を、最初から知ってるような口振りであった。そして跡部が私たちの前までやって来た時、口元に笑みを浮かべる彼を見て悟ってしまった。嗚呼、そうか。私はまんまと跡部に嵌められたんだ。



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