「おい、どけよブス」
目の前の女は俺の顔を見てワッと泣き出した。これだから女ってだるぃんだよ。泣いたら解決するとか思ってるわけ?女の涙は武器とか言うけど、俺には通じねーから、そういうの。
「ブンちゃん、女の子には優しくしんしゃい」
「…邪魔な奴に邪魔って言って、何が悪いんだよ。」
仁王は目を丸くして俺を見た。誰にでもへらへらして笑顔振りまく、アイドル丸井の時代は終わったんだよい。俺だって猫くらい被るっつーの。あれ、狼だっけ?別にどっちでもいーけど。世の中ブスばっかだろ?俺さ、ブスにいい顔すんの嫌いなんだよ。調子乗るじゃん、うぜーじゃん、怠ぃんだよなー、そういうの。つかあいつら所詮クズだろい。死んでもいい人間っつーか、
「丸井、口が悪いよ」
流石にちょっと言い過ぎたら幸村くんに怒られた。反省したフリして俯けば、仁王が悪気があった訳じゃなか、とか何か庇ってくれた。庇ってとか別に頼んでねーし、つかそういうことする仁王きめぇ。何があってもブンちゃんの味方ぜよ、とか言ってるけどよ、俺はお前のことただのクラスメートとしか思ってねーっつーの。信用してたら仁王とか呼び捨てじゃなくて雅治って呼ぶわ。ま、これは絶対言わねーけど。レギュラーの中であんま敵作りたくねーから。だってあいつらがグルになったら、女子のリンチより怖ぇーじゃん。俺確実に死ぬじゃん。嫌だろい、そーいうの。どうせ死ぬならお菓子に囲まれて死にてえし。
こんなことばっか考えてたら、歩いてた誰かとぶつかった。前見て歩けよブス、とか思って見たら学年一可愛いって言われてる__だった。くそっ、可愛いしおっぱいデカいし腹立つくらい好みなんだよな。ぶっちゃけこいつのこと好きだし。__なら付き合ってやってもいいっつーか、まぁ許容範囲みたいな感じ?内心ぶつかってラッキー、とか思ったけど。おっぱいちょっと当たったし、やべぇ揉みてえ。パイズリされたら絶対気持ちよさそうだろい。つか今のは俺悪くねーだろ。勝手にぶつかってきたの向こうじゃん。でも可愛いから許す、あとおっぱいデカいから。…やっぱ許さねえ、なんか俺が悪いみてーだし。あー、くそっ。ちゃんと謝れよな、俺に。じゃあ許してやっからよ、変わりに俺と付き合ってーみたいなノリで、
「邪魔。つーか胸ばっか見んじゃねーよ、ブタ」
いきなり俺に暴言を吐いたあいつは、振り返ることなくその場を立ち去った。あー…えー…普通そこは「丸井くんごめんね!大丈夫?」だろい。あいつには優しさの欠片もねーのかよ。つかさ、マジであいつ何なの?何様だっつーの。ブタ呼ばわりしてよ…、俺ブタじゃねーし。これ筋肉だし、たぶん。何なんだよあいつ…マジで何なんだよ…
「何でときめいてんだよ、俺」