立海のヤリマンと言えば、__だろ?
と言われてしまうほど、あまりよろしくない意味で有名になってしまった。それも全部、ヤリチン雅治のせいだ。雅治と、いわゆるセフレになったのは中二の夏だった。

「のぉ__、抱かせてくれんか?」

コンビニで買ったガリガリくんを食べていると、突然雅治がそんなことを言い出した。無視してガリガリくんを咥えようとした時、雅治の唇に塞がれた。そのまま、何となく、ノリで。好きでもない男とヤッて、我ながら馬鹿だと思った。だから雅治には、内緒にしてほしいと頼んだのに。

「__は淫乱じゃから、誰にでも股開くぜよ」

雅治がそう言い触らしている、と知ったのは中三になった時。たまたま、クラスが一緒になった丸井から聞いた。ついでに「一発やろうぜい」という要らぬオマケ付きで。流れで丸井ともヤッてしまい、更にヤリマン説が学年だけでなく学校中に広まった。お陰で後輩の赤也からも迫られ、結局噂通りのビッチに成り下がってしまったのだ。

「という可哀想な人生を歩んでいる__さん、俺と一回ヤッてくれない?」

初めて幸村くんに話し掛けられた、と思ったらそんなくだらない内容だった。呼び出されて、少しでも期待した私が馬鹿みたいだ。

「ここで断ったら、ヤリマンの噂は止まると思う?」
「面白いことを言うね。__さんが断ったら、丸井と仁王と赤也に、テニス部の前で俺に土下座してもらう予定だよ」

じゃあ断ろうかな、と呟けば「ムービー撮って送ってあげるよ」と彼は愉快そうに笑った。で、結局貴方は何が言いたいの?

「強いて言うなら興味があるから、かな。」

仁王がセフレに夢中になるなんて、珍しいからさ。と幸村くんは言うが、雅治には他にもセフレがいる。私だけでなく、他にも。まるで私に一人夢中、みたい言うが実際に彼と寝たのは最初の一回だけだ。後は二人でお昼寝したり、ゲームをしたり。そんなこと言っても、みんなは私の言うことより、噂を信じちゃうんだけどね。

「じゃあさ、信じるから一回ヤらせてよ」

相変わらずヤろうと言ってくる幸村くんだけど、彼の容姿なら誰とでも出来るだろう。頼めばきっと、みんな食い付くに決まってる。E組のK子ちゃんとか、あの子幸村くんのこと本気で好きみたいだし。

「私にこだわる理由も、無いんじゃないの?」
「理由ならあるよ」

俺さ、__さんじゃないと勃たないんだよね。自慰する時は__さんをオカズにしてるし、無理矢理にでも犯したいって、いつも思ってるよ。
幸村くんの言葉に唖然とした。だって、あの神の子と呼ばれる彼が、

「どう?失望した?」
「いや、物好きだなあって思っただけ」

じゃあいいよね、と合図と共に幸村くんは私の服を脱がし出した。良いとは言ってないのに。あまりいい気はしなかったが、流れに身を任せることにした。確か、丸井や赤也とヤッた時もこんな感じだった気がする、よく覚えてないけど。

「へえ、結構大きいんだね」

ブラをずらしながらDくらい?と聞く幸村くんにE、とぶっきらぼうに答えれば嬉しそうに「後でパイズリ宜しく」と言われた。どうせ「嫌だ、」なんて拒否権は私には無いのだ。私の膣内を慣らしていた指を抜いて、いよいよ彼のモノが挿入するというタイミングで、教室の扉が開く音がした。

「…__に、幸村。お前ら、ナニしとるん?」

最悪だ。雅治が視界に入って瞬間、幸村くんは私の中に入れてきた。あれだけ慣らしていたはずなのに、初めて雅治とヤッた時よりも痛かった。痛い、抜いて、と幸村くんに訴えても、彼は決して抜こうとはしなかった。

「っ幸村、いい加減にしんしゃい!__が痛がっちょるじゃろ!」
「ちょっと仁王、空気読んでよ。あっ3Pがしたいわけ?だったらさ、今すぐ服脱ぎなよ」

同じ部員の雅治が見ているのに、平然と行為を続ける幸村くんが信じられなかった。挙げ句、「俺の名前、呼んで」と私に笑い掛けるのだ。嫌だ、と言えばおもいっきり首を絞められた。

「ねえ、名前呼んでくれるよね?」
「っ、精市、おねが、っやめで、」

途切れ途切れに言葉を紡げば、彼は目を丸くして一瞬動くのをやめてくれた。そのまま抜いてくれるのか、と思った瞬間、体制を変えて更に奥深くまで挿入された。

「もっと、だって。仁王が言う通り__さんは淫乱な人だ」

こうなったのは仁王のせいだよ、恨むなら仁王を恨んでね。小声で私に言う幸村くんの後ろから、雅治が「幸村、頼むから辞めてくれ」と泣き叫んでいるのが見えた。なんで、雅治が泣いてるの。何で、何で、何で、?

「どう?好きな子を目の前で犯される気分は、」

ニッコリと雅治に笑い掛ける幸村くんも、泣いていた。…嗚呼、もうどうにでもなれ。私の首を締めていた幸村くんの手に、そっと触れてみた。思ったよりも、ゴツゴツしていて、男の人の手だった。

「雅治は、私の腹違いの兄なの」

気付けば私の目から、涙が溢れ落ちていた。



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