謙也→ヒロイン→白石



__の目を見た瞬間、好きになった。要するに俺の一目惚れ。ほんまに運命感じるくらいビビッて来てん。俺さ、__と会うために産まれてきたんちゃうか、って本気で思ってんで?ダメ元で告白して、__と付き合い始めてから一年。結構時間経ったと思うんやけど、未だに__から好きとか愛してる、なんて聞いたことない。俺が言うても「私も」って曖昧に返されるし。

「__のこと、ほんまに好きやねん。」
「私も」
「愛してる、ほんまに愛してる。めっちゃ好きやねん」
「私、も」

私も、って言うてくれるからずっと信じてたけど、ほんまに__が俺のこと好きなんかも分からん。毎日__に「好き」って言う愛情表現を、後輩の財前には「謙也さん重すぎっスわ」と言われた。
重い?俺が?何でやねん、俺は好きやから好きって言うてるだけやのに。__を離したくないっちゅーか、俺には__だけやねん。せやのに最近は白石と一緒におる方が楽しそうやし。気付かんフリしてたけど、白石と仲良すぎちゃう?しょっちゅう二人で会ってるん、知ってんねんけど。
白石とはよく話してんのに、俺の電話には滅多に出てくれへん。掛けても留守電やし、気になるけど「何でなん?」とか、そんなん聞く勇気ないっちゅー話や。


別れよう、

__に別れを告げられたのは一年記念日を一週間過ぎた時だった。初めて別れを告げられた時、俺の心は悲鳴を上げた。別れたいん?俺は別れたくない。ずっと一緒って言うてたやん。急に突き付けられた現実を受け止めることなんて出来なくて、ただひたすら__の手を握ることしかできひんかった。

「嘘や、そんなん嘘や。ちゃうよな?別れるなんて、嘘やんな?」
「謙也!っ落ち着いてよ、」
「嫌や、別れたくない。別れようなんて、言わんといて?」

なあ、頼むわ。泣きながら懇願すれば、__は「ごめんね」と俺に謝った。

「もう無理やって」
「無理とか言うなや、俺の悪いとこあったら直すし。なあ、俺別れたないねん。」
「謙也…」
「頼む、俺から離れんといて」

ごめんね、と何回も言う__のその謝罪の真意を確かめないまま、何とか別れることは回避した。それからは前以上に__に依存した。前よりもマメに連絡取るようにしたし、毎日愛してるって__に言うてる。それでも、__が俺に「好き」とは言うてくれへんかった。

ほんまにこれでええんか?

前と変わらず白石と仲良い__を見て、__の気持ちが分からんくなった。俺だけが好きみたいで、めっちゃ辛いっちゅーねん。何で好きって言うてくれへんのかも、もう分かり切ってることやのに。

「俺のこと、ほんまに好き?」
「私も」
「なあ、ちゃんと言うてや」

__の目は一緒見開いたけど、俺を見ながら「好きやで」と辛そうに笑う__を見て察してしまった。お前が白石を好きとか最初から分かってたのに、

「__、ごめんな。」

俺はやっぱりお前を手放したくないねん。



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