※高校生。短いしオチ弱い


大人になるということは、それなりに恥じらいや羞恥心を持つということである。小さい子が裸でも、自我を持っていない時期はそれが恥ずかしいことだとは分からない。しかし大人になればそれが多大な羞恥心を纏う行為という事に気付くのだ。少なくとも、義務教育を終わらせた私には分かる。否、男女を意識し始めた時点で分かるはずなのだ。一体私は何が言いたいのかと言えば、人前で性器を晒すなどあってはならないわけで…

「…忍足、何してるの」
「何って、自慰やけど」

この忍足侑士という人物は恥じらいや羞恥心という言葉とは無縁なのだろうか。
携帯を机の中に入れたまま忘れてしまい教室に取りに来ただけなのに、忍足の自慰を目撃するなんてとんだ災難である。暫く停止していた脳はそこまで来てようやく動き出した。

「なっ、!?」

よく見れば彼の性器は剥き出しのまま机に擦り付けられていたのである。しかもあろうことか、私の机で。忍足のそそり立つモノを凝視してしまった恥じらいと混乱で、遂に私は取り乱した。

「は!?ちょっと、そこ!私の机っていうかちんこ閉まえ!!」
「あー堪忍、…ってかもっ回ちんこ言うてくれへん?イケそうなんやけど」

ふざけんな!と一喝してから机の中にある携帯に手を伸ばそうとすれば、忍足に掴まれそうだったので慌てて引っ込めた。

「惜しいわぁ、そのまま手コキしてもらおうと思ってんけど」
「死ね」

忍足を振りほどいてから携帯を素早く掴み、教室から急いで走り去った。何なのあいつ、マジで何なの?学校のアイドル的存在じゃなかったの?跡部の次に人気ある忍足侑士が教室で自慰?

「…きっしょ」

冷静になった頭で考えたら、あの場で発狂しなかった私かなりスゴいと思う。っていうか忍足のこと、結構好きだったのにな。あんな奴を格好良いと思っていた昨日までの自分が憎らしい。あー、本当に幻滅。明日から忍足のこと見れないわ。
この事を跡部にチクろうと携帯の画面を見た時に違和感、…スマホの待ち受けってこんなに白かったっけ?妙にヌルッとした触感に鳥肌が立った。

「…あいつ、本気で警察に捕まればいいのに。」

取り敢えずスマホは弁償してもらって、机は明日朝一に学校行って隣の田中くんと交換しよう。田中くん、忍足に対して「俺が女なら抱いてもらってる」とか豪語してたしね。
そして、今日を持って忍足侑士は私の最大の天敵になった。



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