いつもの様に帰ろうと教室の扉を開けた瞬間、帽子を被ったチャラ男一号と金髪のチャラ男二号に取り囲まれた。
「ヤーが永四郎の妹なんし?」
チャラ男一号は、まるで兄さんの知り合いかのように話し掛けてきた。でも兄さんは「もし兄妹か聞かれても言ってはいけませんよ」と言っていたので、私は言い付けを守ることにした。
「ワンは永四郎なんて人知らないさー」
そう言えばチャラ男一号は目を丸くし、チャラ男二号はあからさまに顔をしかめ「ユクシムニー」と言った。ユクシムニー、つまり嘘つきとかそういう意味だ。あまり初対面で使われていい気はしない。
「人を疑うなんて、失礼な奴さー!ヤーどんな神経してるんさー!ゴーヤ食わすよ!」
しまった。思わず口癖が出てしまった。ハッとチャラ男一号二号を見れば確信した笑みを浮かべ「やっぱ永四郎の妹さー」と言っていた。
「ヤー、なかなかチュラカーギーやっしー」
「チャラ男に言われたくないさー!」
「……貴方たち、何してるんですか」
そんな時に運悪く兄さんが来るもんだから、とことん私もツイてない。ラケットを持っているところを見れば、部活の途中なのだろうか。
「永四郎が毎日のようにチュラカーギー言うてる妹探してたんさー!」
「あっこら裕次郎!」
思わず口を滑らしたチャラ男一号に慌ててチャラ男二号が一号の口を手で塞いだが時すでに遅し。ばっちり聞いてしまった。
「甲斐くん平古場くん、今日の練習は覚悟してくださいね」
兄さんを見れば既にゴーヤを構えていた。一体そのゴーヤは何処から持って来たんだ、と突っ込みたくなったが、それよりも気になることがある。
「兄さん、ワンのことチュラカーギー、って言ってるんさー?」
単純にからかい半分、冗談半分で聞いてみれば、兄さんは「だから甲斐くん達には知られたくなかったんですよ」と呆れた顔で笑っていた。
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アンケートで木手に票があったので書いてみたら
木手夢なのかよく分からない話になりました…。