俺が髪を切った翌日、同じクラスの__もばっさり切りやがった。

__は、ポニーテールがよく似合う女子だった。だった、と言うことは勿論過去形で、今はベリーショートとかいう髪型になっている。__が髪を切ったのも突然で、むしろ何かしら予兆があった方が良かったかもしれねー。「私もさ、ばっさり髪切ろうと思ってるんだ」とか予め言われていたら、間違いなく俺は止めていた。

もしかして、俺が切ったから切ったのか?

一瞬そうも考えたが、それは自意識過剰になると思って敢えて口には出さなかった。

「お前、何で髪切ったんだよ」
「宍戸は何で切ったの?」

質問に質問で返されるなんて想像もしてなかった。こいつはいつも俺の想定外の行動をする。

「俺は、…自分への戒めみたいなモンだよ」
「私も、宍戸と同じだよ」

何が同じなんだよ?そう聞き返しても曖昧に笑うだけで答えが返ってくることはなかった。
__が髪を切ったその日はみんなが同じことを言っていた。
「前の方が良かったよ」「ポニーテール似合ってたのに。」
それに対しても__は曖昧に笑うだけだった。

五時間目の国語の授業で__から手紙が回って来た。ぶっきらぼうな字で「宍戸の真似してゴメン」とだけ書いてあった。
__を見れば、昨日まで見慣れたポニーテールではなく、うなじが隠れるか隠れない程度の長さの髪を、感触を確かめるかのように触っていた。もう前みたいにポニーテールの髪を揺らしながら授業を受ける__を見ることもないけれど、時折いたずらっ子みたいにこっちを見て笑う彼女を、前よりも更に好きになった。
授業が終わったら真っ先に、__に感想を言ってやろう。



「今の髪型、前よりいいと思うぜ」



***
ポニーテールとシュシュ聞いてたら書きたくなった。
宍戸さんの口調が可笑しいのは、気にしない方向で。



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