24時V様に提出



今日から晴れて私も中学生。お父さんはちょっと、…いやだいぶ過保護やけど、それも昨日までっちゅー話や!へへん、中学生になったら自由やもんね。絶対お父さんよりイケメンな彼氏作ったんねん、お父さんの後輩の財前さんみたいな!
中学生になったら給食制度が無くなるので、必然的にお弁当になる。初日のお弁当って肝心やで、お弁当の中身で格が決まるっていうのも、大袈裟じゃない。
お昼は、入学式で意気投合した白石ちゃんと食べることになった。なんか白石ちゃん見てたら落ち着くんよなぁ、何でやろ?

「いただきまーす!」

お弁当の蓋を開けた瞬間、絶句。おでんのすじ肉と、ご飯(白米)しかなかった。

パタン、

思わず急いで蓋を閉めた。え?え、ちょっと待って?あかんあかん、うち疲れてるんかな?すじ肉と白米だけ?んなわけない。だって今日お父さん早起きしてお弁当作ってたし。なんか卵とか焼いてたし。ウインナー炒めてるんもばっちり見たし。
隣の白石ちゃんのお弁当を見たら、色とりどりというか家庭科の教科書に載りそうな…見るからにバランスの良いお弁当やった。

「流石パパ!無駄ないわぁ」
「そ…それお父さんが作ったん?」
「せやで」

何でや!!何でこんなに差があるんや!!おかしい、絶対おかしい!!もう一回自分の弁当の蓋を開けたけど、何回見てもすじ肉と白米しかなかった。

「…」
「…」
「うちの卵焼きあげよか?」
「…おおきに、」

なんかもう完璧に負けた、完敗や。白石ちゃんが天使にすら見えてきたわ。いや白石ちゃんは第一印象から天使なんやけども。
ってか朝焼いてた卵とウインナー、一体どこ行ってん!!



「お父さん!」
「いい加減パパって呼んでや!すじ肉どーやった?」
「味付け最高ーって、ちゃうちゃう!何ですじ肉と白米しかないん!」
「パパの好物」
「知ってる」

はぁ、大袈裟に溜め息を吐けば肩を叩かれ「幸せ逃げるっちゅー話や」と言われた。いや、お父さんのせいやから。

「なんかさぁ、こう…もっとバランス良いお弁当ってか…、彩りがほしいねん」
「よっしゃ!彩りやな!任せとき!」

自信満々に頷くお父さんにちょっと不安を感じながらも明日は白石ちゃんくらい豪華なお弁当が出てくることを期待した。
翌日、お昼の時間ドキドキしながらカバンからお弁当を取り出せば、何故かサブに水筒らしきものが入っていた。

「わ!それスープちゃうん!忍足ちゃんのお弁当、スープ付いてるなんて凄いなぁ」
「え!そそ、そんなことないよ!」

お父さん凄い!スープなんていつの間に作ってたんや!!全く知らんかったわ!内心、コンソメスープかなぁ?なんてドキドキしながらコップに注いだ。

「……」
「……」
「それ、青汁…?」

お父さんんんんん!?な、何でそこ青汁なん!?!?え??お弁当に青汁??どこの健康マニアやねん!あかん突っ込みが追い付かへん。
オープン・ザ・お弁当したらすじ肉と白米(梅干し付き)やった。いや、昨日とほとんど変わってへんし。ただ梅干し乗っけただけやん。

「……」
「……」
「グラタン、あげるで」
「おおきに…」

うちと白石ちゃんの間には非常に気まずい空気が流れた。てかお父さんほんまにしばく、帰ったら絶対しばく!



「お父さん!」
「だからパパって呼んでーや。今日は彩り良かったやろ?」
「何でやねん!!」
「赤色は梅干しでカバー、緑色は青汁でカバー。まっ、俺も本気出せばこんなもんや」

うちって、プチトマトとかほうれん草のお浸しも出えへんくらい貧乏なんかな。
それから卒業するまで、毎日お弁当の四分の一はすじ肉が占領していた。

(お父さん…、お願いやから白石ちゃんのパパから料理学んでよ)



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