title:確かに恋だった





薄々、後輩の光からの好意は気付いていた。
馬鹿な私でも気付くくらいだから、他の人もみんな気付いていたわけで。
光と一緒にいるだけで同性からは「財前くんに近寄るな」と貶された。
光から好かれているというくだらない理由で嫌がらせもされた。
それが理由かは分からないけれど、段々光に対しての愛情が無くなっていった。
素っ気なくなった私に光も察したのか、それ以来あまり口を聞かなくなった。
光と離れれば離れる程、嫌がらせは減っていった。
私たち三年生が部活を引退する頃には嫌がらせが無くなる反面、光と全く口を聞かなくなった。
それから受験もあって、私と光の接点は綺麗さっぱり無くなった。


卒業式前日、屋上に来て下さいと光に呼び出された。
屋上に行けば学ランのままダルそうにフェンスにもたれかかる光がいた。

「…久し振りやね」
「先輩は相変わらずっスわ」

そうかな、と短く返事すれば光は何も言わなかった。
何となくテニスコートを見ていれば、白石が金ちゃん達と試合をするところだった。
高校生になっても中学に遊びに来るとは思うんだけど。
それでも、何処か白石の背中は寂しそうだった。

「光は行かへんの?」
「……先輩が先約っスわ」
「ふぅん、」

適当に相槌を打てば急に光に腕を捕まれた。
「俺、先輩が、好きなんスわ」

突然の告白に少なからず動揺したけれど、光からの好意は前々から感じていたし、呼び出された時も告白かな…とは予想していた。
光を受け入れるも拒絶するも私次第なのに、受け入れることが酷く億劫に思えた。

「っ、光と私は釣り合わないよ」
「何なんスか、それ」
「だって、」
「俺を振ったら、後悔しますよ」
「……なにそれ」

そのまんまっスわ、とだけ言えば光は屋上から出て行った。
呼び出しておいて先に帰るのかよ!と思ったけど、それが光なりの優しさかもしれない。
テニスコートでは相変わらず白石が無駄のないプレイをしている。
やっぱり告白は断ろうと思いテニスコートに迎う途中、珍しく制服を着た千歳に会った。

「財前が、」
「ん?」
「泣いとったばい」
「、え?」
「財前はずっとお前を好いとう。…あいつの気持ちも無下にしてほしくなか。」

それだけ言えば千歳はすぐにどこかに行ってしまった。
本当に、このまま断ってもいいのだろうか。



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