「これ、あげるわ」
たまたま部室にいた一氏に今人気の某なめこキーホルダーを差し出せば「なんやねんこれ!」と言われた。
こいつ…なめこ人気を知らんのか。

「なめこやで」
「そんなもん知っとるわ!なんでお前が持ってんねんって聞いてるんやアホ!」
「ゲーセンで取って余ってるから、一氏にもあげようと思って。ほら、私も付けてるで」

携帯を取り出して見せたら「お前とお揃いとか何でやねん!小春とお揃いの方が百倍嬉しいわ」と突っ込まれた。
なにこいつ、めっちゃムカつく。
前々からムカつく奴やとは思ってたけど、ここまで来ると小春ちゃんが可哀想に思えてきた。

「そんなに嫌ならいいわ!財前にあげるさかい」
「!ま、待てや。…財前になめことか似合わんしな、しゃーないし貰ったるわ」
「はぁ?あんたさっきいらん言うたやん。あたしとお揃い嫌言うたやん」
「っ、嫌とは言うてないやろ!どんだけ被害妄想激しいねん!」

ぶっきらぼうにあたしの手からなめこをひったくる一氏に内心イラっとしたけど、顔を真っ赤にしながら「おおおお前!俺以外のやつにそのなめこあげんなよ!」と、自分の携帯になめこを付けおった。
……結局お揃いなったし。
一氏にきゅんとしたのは、きっと気のせいや。
あの一氏やで?ないない。
せやけどまぁ、財前たちにあげようと思ってた分のなめこは家に飾ることにした。


一氏が小春ちゃんを迎えに行ってる間、お揃いになったなめこを眺めてたら財前に「一氏先輩もさっき携帯のキーホルダー眺めてはったんすけど。…先輩ら、きしょいっすわ」って言われた、畜生。

「なめこの可愛さが分からんのか、財前は」
「いや、そっちやなくて…」
「何やねん、なめこなめたらあかんで!めっちゃ今流行ってるんやからな!」
「…知ってますけど。」

はー、と盛大にため息を吐かれ「ま、お互い鈍感みたいなんで。頑張ってください」とか意味分からんこと言って、財前はさっさと練習に行ってしもた。
一人取り残された部室でどういう意味か考えてみたけど、さっぱり分からんし諦めた。
携帯につけたなめこを見て、一人ニヤニヤしてるのを、まさか窓から財前に見られてるとは知らずに。




(…だから、お揃いで付けるんがきしょいんすわ)

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なめこ流行ってますよねってお話。
実は一氏と両思いっていう裏設定。



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